登山道入り口から雑木とヒノキがうっそうと茂った山腹のジグザグコースを登ると、やがてミズナラの大木が目印の山の神でわずかに展望が開けます。七面山や赤石岳など、南アルプスの名峰を木の間ごしに眺めながら一呼吸。尾根コースから大名屋敷跡などいくつもの中山金山遺跡を眺めつつパノラマ台まで登ると、樹間の朝霧高原を隔てた富士が疲れた体を優しく見下ろしてくれます。灌木のはえる急斜面を登り、やがてモミやツガの混じる原生林をしばらく行くと毛無山山頂まではもうすぐです。大沢くずれが右に見える富士の展望は素晴らしく、あたりの低山との対比で、押してくるような迫力に疲れも忘れるほど。右には駿河湾も臨め、まるで絵はがきのような超一級の富士が広がっています。東北に続く尾根に足をのばせば、その姿をさらに楽しむことができます。帰路はパノラマ台から登山道入り口に向かいます。

[ガイド・写真/上野 巌(山岳写真家)]