第二編 身延町の自然

第一章 地形と地質

 身延町の自然は地形地質をはじめ、気象・動物・植物にいたるまで、大へん複雑でむずかしく、それだけに重要な場所となっている。特に地質や植物や鳥類については、多数の研究者が入って成果をあげているが、まだこれから調査しなければならないことが沢山ある。この章では身延町の地形と地質について述べる。

第一節 位置、面積および標高

 身延町は山梨県の南部に位置し、ほぼ半円の形をしている。中央部を富士川が北から南へつらぬいて駿河湾にそそいでいる。総面積は131.12平方キロメートルでとなりの下部町とほぼ同じで、南につらなる南部町や富沢町より大きく、早川町にははるかに及ばないが、県下では第12位である。
 北方は急流早川を境に中富町に接し、東北方は下部町に、西部および北西部は南アルプスの前山である分水嶺を境に早川町に接する。南西部は安倍峠をへて静岡市梅ケ島に接する。東方および南方は南部町に隣接する。南北の距離は約11キロメートル、東西の幅は約16キロメートルで、役場は本町のほぼ中央付近に位置し、東経138度26分48秒、北緯35度22分03秒、標高182.9メートルをしめす。(表1参照)
 表 1
役 場 所 在 地
極 所 の 経 緯 度
 南巨摩郡身延町梅平2483の36
 東経138度26分48秒
 北緯35度22分03秒
 標高182.9メートル
(東) 五宗山 東経138度31分
(西) 八紘嶺 東経138度20分18秒
(南) 南部町境の山 北緯35度17分32秒
(北) 小原島の早川河原 北緯35度26分

 山岳地帯は富士川を軸として西側と東側に大きな壁をつらねている。西側に粟倉山、身延山、鷹取山、安倍峠などが南北にならび、更に西には本町での最高峰、七面山(1,989メートル)がそびえている。東側にも入ケ岳、五宗山、三石山、大島峠などが南北にならび最高峰は五宗山の1,634メートルである。
 面積の大部分は急峻な山岳地帯によって占められ、深い谷が刻まれ、これらの谷間の水は集まってことごとく富士川に注いでいる。
 山林面積は本町総面積の約84パーセントを占め、原野5パーセント、耕地4パーセント、その他7パーセントの割合となっている。山林面積の77パーセントは民有地であり、耕地の約90パーセントが田畑をしめている。
 標高別に面積をみると500メートル以上が本町総面積の54.5パーセントを示している。200〜500メートルは39.5パーセントを示し、50〜200メートルの約6パーセントの土地のほとんどは未開拓または開拓不能の河川敷であり、集落や田畑のすべては150〜500メートルまでの河川がつくった扇状地、河岸段丘や河原などに点在している。