第二節 選挙制度の概況住民の自治とは、住民の意志と責任によって行政を行なうことであって、原始的な地域社会では、住民全部の集会によって重要なことが決定され、住民の代表者がその社会を治めたといわれている。しかし、今日のような複雑かつ巨大な社会では、住民がいちいち相談して行政を処理することは事実上不可能である。そこで現在では国でも地方団体でも代議政治(間接民主主義)の形式をとっている。すなわち、住民が選挙によって選んだ自分達の代表者を通じて、自分達の意志を地方団体の行政のうえに反映させるというしくみである。この代表者を選出するための方法が選挙であるから、選挙に参与することが住民の権利のもっとも基本的なものということができる。したがって、その行使については、住民の自由な意志によってなされるよう保障されている。 「すべての選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にもその責任を問われない。」(憲法第15条4項)
一、選挙管理委員会の組織選挙は、近代国家においては、国民参政の基本的仕組であって、国や地方自治体の運営を左右することになり、ことに選挙が政党的に行われるようになったので、その執行が公正に行なわれることが極めて重要になった。選挙は従来都道府県知事および市町村長によって執行されてきたのであるが、戦後都道府県知事及び市町村長が直接選挙によって選任されるようになったので、これらの手をはなれて合議制の選挙管理委員会によって行なわれるようになった。 選挙を管理する機関には次のような種類がある。 (一)中央選挙管理会参議院全国選出議員の選挙および最高裁判所裁判官の国民審査を管理する合議制の行政機関で、5人の委員からなり任期は3年、内閣総理大臣が任命する非常勤の国家公務員であり、事務は自治省選挙局で行なっている。(二)都道府県の選挙管理委員会都道府県の選挙管理委員会は4人で構成され任期は4年であって、都道府県議会議員が選挙して決める非常勤の都道府県の公務員である。(三)市町村選挙管理委員会市町村選挙管理委員会は、4人の委員で構成され、任期は4年であって市町村議会議員が選挙によって選任する非常勤の公務員である。選挙管理委員になるためには、その市町村の議会議員、長等の選挙権を有していなければならない。(四)身延町選挙管理委員会選挙管理委員会は、選挙に関係する一切の事務を管理する執行機関であって、重要な職務であるとともに、その責任も大きなものである。本町の選挙管理委員会は、新町発足以来町長選挙をはじめ第三節(各種の選挙状況)に掲げるような各種の選挙を行なってきた。選挙事務は複雑であり、選挙事務にちょっとした錯誤があると、選挙無効または当選無効という争訟の原因にもなり、少しの誤ちも許されない。異議申立てや訴訟が行なわれた例は他町村にはしばしばみられるのであって、選挙は慎重に行なわなければならない。また選挙は非常に短い期間に行なわれるので、選挙管理委員会は選挙になると連日準備や手続きに忙殺される。したがって、常時書記(兼任)を置いて事務の適確な処理を行なわせている。 本町は、面積が広く、部落が散在しているため、選挙人の投票の便宜を図って、投票所を20箇所に設けている。
投票区投票所
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