第三節 アマチュア無線局

一、アマチュア無線局の開設とその状況

 一般家庭にある中波のラジオ受信機では、昼間は近くの放送だけしか聞こえないが夜になると遠方の放送が聞こえはじめ、国内はもちろん、中国、朝鮮、モスクワなどの放送が聞こえてくる。しかし中波の受信機ではその内容がラジオ放送だけで、他の通信とか通話はほとんど聞こえない。
 ところがオールウエーブ受信機を使って聞くと、日本短波放送、標準電波、漁業無線、国際放送、国際通信等テレタイプのように速度の速いもの、又話の内容の解らないモガモガときこえるものなど、さまざまの電波が入り乱れて聞かれる。その中に7MC付近でJA1の何何とか、送信機がどうとか、アンテナの具合がどうだとか、天候が或は了解度が、又カードをJARL(日本アマチュア無線連盟)で、郵政省経由でなどと、楽しそうに時折女性の声も交えて聞こえて来る部分がある。これがアマチュア無線局の発射している電波で、アマチュア無線は公営放送局のように電波が強く美しい声ではないがかた苦しいことを言わず、放送の内容は自由に話している。このアマチュア無線は3.5MC付近でも聞かれ14MCでは英語のアマチュア無線の通話を聞くことができる。
 アマチュア無線は、利益を目的としないで個人的な趣味で無線の送信、受信の設備を持ち、(別名ハム局と言う)ハム同志で技術の研究や天気の模様、趣味、生活の話などを通信、通話し合ったりする趣味の家庭放送局とも言うべきものである。
 アマチュア局が運用できる周波数帯(電波法で定められている)は次の通りである。
1.9MC帯(1.907、5〜1.912、5MC)
28MC帯(28.0〜29.7MC)
3.5MC帯(3.5〜3.575五MC)
50MC帯(50.0〜54.0MC)
7.0MC帯(7.0〜7.1MC)
144MC帯(144.0〜146.0MC)
14MC帯(14.0〜14.350MC)
435MC帯(430〜440MC)
21MC帯(21.0〜21.450MC)
又電波の形式は大別して
1−電信電波・A3−電話電波があり振幅変調(AM)とか周波数変調(FM)、サイドバンド(SSB)等それぞれ多種多様の電波で常時交信されている。しかし、この電波は誰でも自由に発射できるものではなく、電波法に基づいてそれぞれの資格と免許を所持するものにのみ許されるわけであり、ハム局を運用するには、無線従事者免許(国家試験、又は電波法で定められた認定講習を終了し、テストに合格したもの)の与えられたものに限り可能であり、無線従事者の免許所持者は、住居地を管轄する電波整理局に申請することによりハム局の免許が与えられ、個人局の名(コールサイン)も定められる。
 従事者免許の種類には
電話級アマチュア無線技士
電信級アマチュア無線技士
第二級アマチュア無線技士
第一級アマチュア無線技士
があり無線技士の資格によって無線局の出力にも制限がある。日本全国が次の図の通り電波監理局によってエリアが分類され、又常に電波は監視されている。
 例えば、関東管内の従事者免許所持者が電波監理局にハム局の申請をすれば申請順序に従い、1番目の人がJA1AA、2番目がJA1AB、3番目がJA1ACとなり26番目がJA1AZ、次がJA1BAという順にコールサインが各電波監理局毎にA〜Zと与えられる。関東管内ではハム局の数が急激に増え、JAコールは完了し現在ではJH1SADというコールサインの付与状況であり、ハムを楽しむ階層は老若男女の別なく職業は大学教授、病院長から小学生まで千差万別、対等の立場で趣味を楽しんでいる。
 全国のハム人口は(昭和43年9月現在)129,459人、局数が73,117局その内訳は
関東(JA1)   26,700局
東海(JA2)   9,710局
関西(JA3)   9,657局
中国(JA4)   4,565局
四国(JA5)   2,277局
九州(JA6)   6,560局
東北(JA7)   4,196局
北海道(JA8)   3,582局
北陸(JA9)   2,398局
信越(JAφ)   3,472局
  73,117局
となっており、世界のハム局数
1、アメリカ   277,000局
2、日本   73,117局
3、ドイツ   12,225局
4、イギリス   11,850局
5、 ソ連   11,000局
カナダ   11,000局
6、ブラジル   9,000局
7、アルゼンチン   6,000局
の順になっている。

二、身延町におけるアマチュア無線局の現状

 山梨県のハム局数も全国的には42番目位であるが、近年その数も増加しつつあり身延町でも遅ればせながら昭和39年JA1RNL局(沢田成一)、JA1TBT局(佐野雅美)が誕生し、東海電波管理局管内から移動したJA2GKT局の3局で身延町からもハムの電波が全国に向けて発射され、昭和43年にJH1RVB局(松永修)、JH1(SPF)局(望月一真、中学2)、JH1(MUK)局(島津達正、高校3)JH1LXN局(松木実、高校3)、JH1SCW局(佐野雅仁)が誕生、本年に至り従事者免許所有最年少者の身延中学校1年生を含め7名が無線局免許の申請中であり間もなくコールサインが付与される見込みである。これらの局が日本全国はもちろん、全世界のハム局を相手に仏都身延町の存在と日蓮宗身延山のPRをハム局趣味の中で宣伝したり、非常災害のため通信と絶の際とか、遭難者の救出、無線連絡等人命救助に、公益活動に多くの実績もあり、その活躍ぶりは高く評価されている。

三、アマチュア無線の組織図