第六節 温泉(鉱泉)

 前述のように、糸魚川−静岡構造線にそい多数の小割目が生じている。新第三紀の地層は砂岩、頁岩が主体で構成されているが、著しい地殻の変動をうけて傾き、さらに断層により小地塊に分かれている。鉱泉の大部分はこれらの軟弱な堆積岩の裂目にそって湧出しているもので、いずれも低温であるが、いろいろの成分を溶解しているので地方人に親しまれ遠路から湯治にくる人も多い。
 身延町内の鉱泉の湧出場所は
上八木沢鰍原 利用
  角打   利用
  塩之沢   利用
  大島馬込   未利用(かつて利用)
  塩沢   未利用(かつて利用)
  門野   未利用(かつて利用)
  身延西谷   未利用(かつて利用)
 これ以外に総門付近、大久保沢(帯金)桑柄沢(角打)、時雨沢(和田)、堺沢(下大島)……など少量ではあるが地層の裂目から湧出している箇所がある。
 成分は単純鉱泉でいずれも同じような成分であると考えられるが、湧出箇所の地質の状況などにより多少差異がみとめられる。

1、上八木沢鰍原
源 泉 名 波高島温泉
  泉   質 アルカリ性単純泉
  浴用適応症 糖尿病・神経痛・心臓弁膜症・慢性関節リュウマチス・慢性皮膚病・慢性婦人疾患
  飲用適応症 神経痛・糖尿病・慢性気管支カタル・常習便秘・慢性筋肉リュウマチス・慢性関節リュウマチス・慢性金属中毒症・神経痳痺
2、角打
源 泉 名 身延鉱泉
  泉   質 単純緑礬泉
  浴用適応症 神経症・神経痛・慢性関節リュウマチス・慢性筋肉リュウマチス・慢性婦人疾患
  飲用適応症 貧血症・慢性マラリヤ・慢性神経症・神経痛・婦人疾患