第二節 人口構成

一、年齢別、性別構成

 人口構成の要素をなす年齢別、及び性別人口の最近数年間の推移は、表1をグラフにした図1からその形態をみることができる。先ず昭和25年から40年に至る推移の中で25年及び30年においては、大体ピラミッド型の構成を示し、人口が着実に増加してきたことを表わしている。35年から40年になるに従って、軍艦型構成に変わり、人口減少の傾向をはっきり現わしている。これは現在の日本全体の傾向とほとんど同様である。
 本町の特徴としてみられるところは、昭和40年の構成の場合20歳から34歳の生産年齢人口の中の中堅層が男女とも減少している点である。これは、この層が多く都会地に流出していることを現わしているものである。
 なお戦後20年の今日に至っても、戦争のきずあとがはっきりこのグラフにみられる。即(すなわ)ち25年の構成をみると、30歳から40歳が非常に少なく、これは戦死、あるいは未復員の結果であろうが、更に以後15年たった40年において45歳から54歳までの層が少ない結果となってあらわれている。次に最近10ヵ年の増加率においては、高齢者になるに従って増加が目立ち、平均寿命の延びを如実に物語っている。その他も増加している層はいずれも中高年齢層であるが、これにひきかえ次代をになう青年層や幼年層はともに著しく減少している状態である。
 性別構成においては、いずれも女性がやや多く40年には身延町で3.2パーセント、県では3.5パーセント、国で1.8パーセント女性が上回った構成比を示し、数年間同様な傾向をたどっている。
 更に年齢を大きく3区分して、14歳までの幼年人口、15歳から65歳までの生産年齢人口、及び65歳以上の老齢人口の階層別にその構成をみると、最近10ヵ年の傾向は幼年人口の割合は年ごとに減少し、逆に生産年齢人口や老齢人口の割合はともに増加の傾向にあり、この点からも身延町の人口構成は老齢化をたどっている状態がみられる。

  表1  年齢別人口構成   (5歳階級別人口の推移)
区分
昭和25年
昭和30年
昭和40年
山梨
身延町
山梨
身延町
山梨
身延町
0〜4
102,933
788
866
1,654
84,930
823
773
1,596
61,233
494
463
957
5〜9
98,594
884
907
1,791
98,229
926
790
1,716
66,380
595
583
1,178
10〜14
96,982
883
899
1,782
94,819
855
865
1,720
82,168
769
715
1,484
15〜19
84,367
796
682
1,478
78,500
667
632
1,299
80,103
680
592
1,272
20〜24
70,613
624
558
1,182
68,200
507
532
1,039
54,395
263
327
590
25〜29
55,529
458
526
984
62,183
532
582
1,114
51,302
298
324
622
30〜34
47,739
348
455
803
51,519
420
467
887
55,442
375
378
753
35〜39
46,272
332
425
757
45,190
335
436
771
56,569
453
490
943
40〜44
42,474
388
398
786
43,540
326
400
726
48,246
391
423
814
45〜49
38,485
347
408
755
40,249
361
379
740
42,041
288
392
680
50〜54
31,577
335
320
655
36,073
329
381
710
39,589
264
340
604
55〜59
26,764
234
232
466
29,205
305
276
581
35,718
310
322
632
60〜64
24,908
217
250
467
24,000
217
238
455
30,461
260
336
596
65〜69
19,067
172
225
397
20,985
181
219
400
22,798
226
227
453
70〜74
13,884
112
140
252
14,767
142
177
319
16,584
146
166
312
75〜79
7,072
62
100
162
9,345
62
110
172
11,543
72
130
202
80〜84
2,838
19
44
63
3,867
35
53
88
5,874
40
79
119
85以上
1,036
 
 
 
1,436
9
17
26
2,768
17
32
49
総計
811,134
6,999
7,435
14,434
807,037
7,032
7,327
14,359
763,214
5,932
6,318
12,250
就業人口
 
3,232
2,751
5,983
 
3,571
2,604
6,175
 
3,143
2,221
5,364
                               (国勢調査統計)








二、労働力人口構成

 労働力人口は15歳以上のいわゆる生産年齢人口の中の就業者と失業者を包括した人口であるが、本町のこれらの人口は、表2によりその構成をみることができる。本町の総人口が、前述のごとく年々減少しているのに対して、生産年齢人口の占める割合は逆な傾向を示している。表によると昭和30年には総人口の中の生産年齢人口の割合は65パーセントであったものが、10年後には70.5パーセントとなり、5パーセント増加している。しかしこのように増加の傾向にある生産年齢人口が、そのまま労働人口の増加につらなるものではない。どちらかといえば逆に非労働力率が上昇しており、30年の22.6パーセントが、40年には37.4パーセントとなっており、労働力人口は減少している。このような状態は、最近特に目立ってきた進学者の増加、生活の安定、社会保障の充実などの理由によるところも大きく、これは、更に全国的に傾向として今後も続くものと思われる。

  表2  労働人口の推移
区分
昭和30年
昭和35年
昭和40年
実数(人)
割合(%)
実数(人)
割合(%)
実数(人)
割合(%)
生産年齢人口
総数
9,327
100.0
9,307
100.0
8,631
100.0
4,428
47.5
4,537
48.7
4,074
47.2
4,899
52.5
4,772
51.3
4,557
52.8
労働人口
総数
6,288
67.4
6,369
68.4
5,404
62.6
就業人口
6,175
66.2
6,347
68.2
5,366
62.2
3,571
38.3
3,737
40.1
3,144
36.4
2,604
27.9
2,610
28.1
2,222
25.8
失業者
113
1.2
22
0.2
38
0.4
87
0.9
11
0.1
22
0.3
26
0.3
2
0.1
16
0.1
非労働力人口
総数
3,039
32.6
2,940
31.6
3,227
37.4
770
8.3
789
8.5
908
10.5
2,269
24.3
2,151
23.1
2,319
26.9

三、職業別人口構成

 職業別及び産業別就業者の構成を国勢調査結果からまとめたものが表3表4である。これを図表化した図2からみられることは、昭和30年から10年後にはその構成比が大きく変っていることである。特に本町では農業を主としている人が多く、30年には約半分の割合を占めていたものが次第に減少して40年には約3割にまで下っている。これは最近農業の兼業化が年ごとに多くなっているためであり、国全体の傾向でもある。更に本町の農業における女性就業の割合は各年次とも男性を上回っている。これは現在の農業の低所得性からくる問題で、特に本町のような農業規模の極めて零細な地方においては、この問題はいよいよ深刻である。
 従って農業従事者の男子は他に収入を求めなければならないため、現在農業の大半が婦人や老人によってになわれている状態である。
 そして農業をはなれた人たちは、第二次、第三次産業へと移行し中でも建設業、サービス業が増加の傾向を示している。さらに以上のような本町の構成状態を全国のそれと比較してみるに、図3により最近のわが国における生業別就業構成比は、昭和40年において第一次産業が24.7パーセント、第二次産業が32.3パーセント、第三次産業が43.0パーセントと順に高く、いわゆる先進的形態をなしている。これに対して本町の場合は、第三次が43.8パーセントでもっとも大きく、ついで第一次の34.2パーセント、第二次の22.0パーセントの順であり、第三次産業だけは全国平均とほぼ同一の数値を示している。これは身延山を中心とした「仏都観光の町」としての本町の姿でもあると思われる。また、各産業のうちでも生産性の高い第二次産業の就業構成比が極めて低いことは本町における第二次産業の立ち遅れを現わしているものとみることができる。


  表3  職業別人口及び人口指数
区分
昭和25年
昭和30年
昭和40年
人口指数
25年
40年
専門的技術的職業従事者
324
119
443
287
29
316
260
124
384
100
86
管理的職業従事者
100
4
104
83
0
83
64
3
67
100
64
事務従事者
267
121
388
246
105
351
295
145
440
100
113
販売従事者
223
205
428
289
277
566
244
319
563
100
132
農林漁業従事者及類似従
事者
1,720
1,967
3,687
1,573
1,684
3,257
787
1,069
1,856
100
50
採鉱採石従事者
0
0
0
4
0
4
2
0
2
100
0
運輸通信従事者
88
0
88
79
14
93
234
46
280
100
319
特殊技能工、生産工程従
事者単純労働者
932
201
1,134
917
202
1,119
1,139
250
1,389
100
122
サービス職業従事者
74
138
212
93
203
296
118
265
383
100
184
分類不能職業
3
0
3
0
0
0
1
1
2
100
67
3,732
2,755
6,487
3,571
2,514
6,085
3,144
2,222
5,366
100
83
                                  (国勢調査統計)

  表4  業態別人口および世帯数
区分
昭和30年
昭和40年
世帯数
人口
上のうち就業人口
世帯数
人口
上のうち就業人口
第一次産業
農業
1,048
5,756
1,290
1,647
2,937
615
2,901
625
1,048
1,673
林業及狩猟業
154
715
248
46
294
115
522
138
23
161
漁業及水産業
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
1,202
6,471
1,539
1,693
3,232
730
2,423
763
1,071
1,834
第二次産業
鉱業
1
3
2
0
2
30
121
53
5
58
建設業
179
973
337
8
345
349
1,635
487
72
559
製造業
263
1,312
453
100
553
309
1,423
419
147
566
443
2,288
792
108
900
688
3,179
959
224
1,183
第三次産業
卸売業小売業
277
1,405
353
332
685
301
1,333
329
388
717
運輸通信公益事業
56
797
292
52
344
253
1,182
421
69
490
金融保険不動産業
8
38
14
6
20
16
64
32
20
52
サービス業
301
1,558
452
356
808
385
1,617
542
431
973
公務
103
444
129
57
186
65
312
97
18
115
分類不能産業
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
745
4,240
1,240
803
2,043
1,020
4,508
1,421
926
2,347
その他
完全失業者
31
139
     
7
26
     
非労働者
214
845
     
196
652
     
総計
2,635
13,983
3,571
2,606
6,175
2,649
10,788
3,143
2,221
5,364
                             (国勢調査統計による)