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十月廿五日 各区正副戸長ヲ廃シ各村ヲシテ更ニ正副区長ヲ選挙セシム其移牒ニ曰 |
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毎区戸長副戸長廃止更ニ区長副区長ノ称ヲ以壱区一人宛置候条区内村々ニ於テ篤ト人選致シ一村限リ封書ヲ以来ル十一月十五日限リ可申出候尤給料ハ可為民費条区限リ相当取定可伺出事
但 区長副区長人選中ハ是迄ノ通元正副戸長ニテ事務可取扱事
右ノ趣無洩可相達者也
壬申十月廿五日
同日 名主長百姓ヲ廃シ各村正副戸長ヲ置カントシ其選挙法ヲ布達ス曰
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今般大小切安石代廃止ノ上ハ村費等精々減少無之テ不相叶ニ付従前ノ組分ケハ勿論小村ノ分ハ可成丈最寄ヘ合併村吏人員減省候様毎区協議ノ上早々可申出事 |
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一、 |
名主長百姓相廃止更ニ人撰ノ上毎村戸長副戸長ヲ置候条別紙規則照準公平ノ入札ヲ以選挙致シ来ル十一月十五日ヲ限可取極事
但 戸長副戸長選挙候迄ハ元名主長百姓ニテ是迄ノ通事務可取扱事 右ノ趣無洩可相達者也
壬申十月廿五日 |
村吏改置定則 |
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一 |
戸長ハ一村壱人ニ限り副戸長ハ村高ニ応下ノ通 |
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百石以下 |
副戸長壱人 |
百石以上三百石迄 |
副戸長弐人 |
三百石以上五百石迄 |
副戸長三人 |
五百石以上八百石迄 |
副戸長四人 |
八百石以上千石迄 |
副戸長五人 |
千石以上 |
副戸長六人 |
但 給料ハ民費タルヘシ尤各村事務ノ繁簡ニ因テ人員給料共増減アルベシ
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一 |
戸長ハ村内土地人民ニ関係ノ事件士民ノ別無ク都テ取扱副戸長ハ是ニ次テ事務ヲ輔ケ貢納夫銭勘定取立方等専務一々戸長ノ改ヲ請可申事 |
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一 |
戸長副戸長勤務無年限タリト雖モ詮議ノ品ニ寄転役退役申付候儀可有之其節ハ更ニ公選ヲ以可相定事 |
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一 |
入札日限取定前以一村無洩相達尤戸数多ノ村方ハ両日ニ割合入札可致事 |
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一 |
入札済翌日封ノ儘県庁ヘ持参官員立会ノ上開封致シ高札ノ者ヘ可申付事 |
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右規則ノ条々堅可相守事 壬申十月 |
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二月七日 戸長選挙法ヲ制定布達ス曰 |
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甲第四拾五号
明治九年三月甲第九拾六号布達正戸戸長選挙規則相廃シ戸長選挙法別紙ノ通相定候条此旨布達候事
但 現今奉職中ノ者ハ改選ニ及ハス尤モ任期ノ儀ハ此法頒布ノ日ヨリ起算ス可キ事 |
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明治十二年二月七日 山梨県令 藤村紫朗 |
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戸長選挙法 |
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第一条 戸長タルヲ得ヘキ者ハ満弐五歳以上ノ男子ニシテ其町村ニ本籍ヲ定メ満壱年以上住居シ其町村ニ於テ地租ヲ納ムル者ニ限ル 但左ノ各款ニ触ルル者ハ戸長タルヲ得ス
第一款 懲役実決ノ刑ニ処セラレタルモノ
第二款 身代限リノ処分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終ヘサル者 |
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第二条 戸長ヲ選挙スルヲ得ヘキ者ハ満弐拾歳以上戸主ノ男子ニシテ其町村ニ本籍ヲ定メ且其町村ニ於テ地租ヲ納ムル者ニ限ル 但前条第一款第二款ニ触ルル者ハ戸長ヲ選挙スルヲ得ス |
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第三条 戸長ヲ選挙セントスルトキハ郡長ニ於テ予メ選挙ノ投票ヲ為スベキ日ヲ定メテ其町村ニ報告スベシ |
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第四条 選挙ノ投票ハ郡長ヨリ附与シタル用紙ニ被撰人ノ住所姓名年齢等詳記シ撰挙予定ノ日之ヲ郡長ニ出スベシ |
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第五条 郡長ハ投票ヲ調査シ其最モ多数ノ者ヲ当選人トシ同数ノ者ハ年長ヲ取リ同年ノ者ハクジヲ以テ之ヲ定ム若シ当選人其選ヲ辞スルカ或ハ法ニ於テ不適当ナル者ハ順次投票多数ヲ得タル者ヲ取リ本人並ニ選挙人ニ示シ県庁ニ具申スベシ |
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第七条 選挙ノ際事状該町村ノ治否ニ関係スルト認ムルトキハ選官ヲ以テ特ニ任シ或ハ其当撰者ヲ改撰セシムル事アルベシ |
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第八条 戸長ノ任期ハ三年トシ三年毎ニ改選ス 但前任ノ者ヲ再選スル事ヲ得 |
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第九条 戸長任期中ト雖トモ第一条ニ掲クル各款ニ遭遇スルカ或ハ他村ニ移住スルカ又ハ事故アリテ退職スル時ハ更ニ其欠ニ代ル者ヲ選挙スベシ |
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第拾条 前各条ノ外選挙ニ係ル細則ハ郡長ノ定ムル所ニ従フベシ |
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区長心得べき条々 |
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一、区長の儀は、区内諸町村戸長共へ伝達之事件を始、平生諸世話駈引等其役務たり、時により一区内の総代にも相立べき事に付、謹んで御仁政の御趣意を奉じ精勤を遂ぐべき事。 |
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一、区内諸町村より申出る儀を、是非をもわかたず差押え情実を上達せず、或は公事訴訟等に付、賄賂を受依怙之取計致す間敷く戸長共へも此旨常に申聞かすべし、自然不心得え者有らば速かに申出べき事。 |
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一、追々相達する趣沈滞なく速かに戸長共へ伝達し旨趣審に申聞すべき事。 |
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一、役威に傲り、驕奢尊大之所行固くこれを禁ず、常に正真篤実を旨として、諸町村役の模範と相成る様心を用いべき事。 |
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一、町々村々懇和互に扶助保護の手立をなし、常に華美の奢を警め、無益の費を省き職業を勧め区中成立之心遺肝要たるべき事。 |
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一、善を勧め悪を戒しめ、風儀を宣に導き、区中永世之繁栄をはかり窮民救助凶年手当等怠なく心配遂くべき事。 |
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一、隣区相親しみ万端申し合せ、聊隔絶する事有之べからざる事。 |
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一、常に戸籍の取調べ怠らず、支配之区内に不審のものの留置すべからざる事。
右之通可心得もの也
明治六年第四月
山梨県 |
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戸長可心得条々 |
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一、戸長之儀は、支配内一統之者へ伝達之事件を始め、平生諸世話駈引等其役務たり時に支配内の惣代にも可相立事に付、謹而御仁政之御趣意を奉し精勤を遂べき事。 |
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一、役威に傲り尊大驕奢の所行堅く誠之、町村内の者より申出る儀は、是非をもわかたず、さし押へ情実を上達せず、或は公事訴訟等に付賄賂を請け依怙之取計等いたすまじく、方正廉直を旨とし条理明らかに可取計事。
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一、追々相達する趣吃度相守諸布令其外伝達無沈滞速かに取計旨趣審かに町村内之者共へ可申聞事。 |
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一、町村内之者離散せざる様注意いたし貧弱のものあらば難渋極まらざる内扶助の手立をなすべし、自然下において心に不任程之事は速かに申出すべく常に華美の奢を警め、無益の費を省き農業を勧め諸人成立の心遺ひ肝要たるべき事。 |
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一、隣町村相親み互に気を付諸事申談聊隔絶する事有之べからざる事。 |
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一、田畑荒さざる様堤防橋梁道路溝川等修補に怠るべからず、自然水損等にて大破に及び下において普請調べ難き程の事は速かに申出べく荒地場起返しの儀も村中申合せ精々力を尽すべし、若、村内の力に不及事は是亦速に可申出事。 |
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一、田畑用水筋山林等境界を正し争論起さざるよう兼て可心付事。 |
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一、貢納之米金其外諸上納期限に至り差支ざる様手配方兼々可心懸事。 |
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一、官用と号し町村え不当の出金いたさせまじく諸入費は、常に明細書き記し置き総て清廉の取計肝要たるべき事。 |
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一、運輸の便を起し、土地を開き、良木を植付物産を盛んにし、永世土地の栄をはかるべき事。 |
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一、善を勧め悪を戒め風儀をよろしきに導く事、役人の勤め方にあたり、心得方宜からざるものあらば、慇懃に教諭を加え行状を改めしむべし、且又諸人に抽で心得よろしき者あらば遂一に申出べき事。 |
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一、会議集議の節、飲食に長じ又は雑話に打過費用を省ず転業を妨る事堅く禁之心得違無之様町村内へも兼々可申聞事。 |
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一、常々戸籍の取しらべ怠らず支配内に不審の者不可留置事。 |
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一、溝川道路不潔にして塵芥腐敗し都て臭気あるものは養生に害あり、常に申合掃除等怠ざる様申付事。 |
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一、火の元別て入念相慎候様申付事。
右之通相心得べき者也
明治六年第四月 山梨県
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