第五節 身延町の誕生
町村合併促進法(昭和28年9月1日法律第258号)が公布されたのに伴って県は、各市町村に対して、「町村合併促進法施行に関する件依命通知」を発した。
町村合併促進法施行に関する件依命通知
去る九月一日法律第二五八号として公布された町村合併促進法は、十月一日から、同法施行令は、政令第三二三号として十月五日から、それぞれ施行せられることとなった。
町村合併により弱小町村を解消し、町村規模の適正化を図ることは、地方自治の基盤を強化し、地方行政を簡素合理化する基本であるのみならず国政全般の合理的能率的運営に寄与するところが多いのであって、政府においては去る九月十一日の閣議において町村合併促進法の施行を機とし、今後三年間に概ね現在の町村数を三分の一にすることを目途として強力にその推進に当る方針を決定し、これがため関係各省・地方公共団体の代表者及び学識経験者をもって組織する町村合併促進本部を内閣に設け、町村合併に関する基本方針及び基本計画を定め、この画期的な大事業を推進することとなった。
同法の施行その他町村合併の実施上諸般の措置については、貴職の積極的な活躍にまつところが頗る多いのであって、全国的な町村の再編成の歴史的事業の成就は帰するところは、関係町村の自主的発意によらなければならないが、それは町村合併促進の体制整備と町村合併の気運の醸成のいかんにかかわるものと存ぜられる。
ついては、同法の施行に当り下記事項に御留意の上町村合併の促進に関し格別の御尽力を願い、広く住民全般に対して同法の趣旨の周知徹底を図り挙げてその目的を達成せられるよう御努力願いたい。
右命により通知する。(下記事項略)
町村合併促進基本計画
町村合併促進法施行に伴う九月十一日の町村合併に関する件閣議決定の方針に則り昭和三十一年九月末日まで(町村合併促進法の有効期間中)に、小規模町村(人口八千未満)を合併し、町村数を約三分の一に減少することを目途として、下の要領により町村合併を促進するものとする。
記
一、人口八千未満の町村八、二四五(昭和二十八年九月一日現在)の九五パーセント七、八三二を次のように合併して解消するものとすること。
1、 |
七、八三二町村中一、五〇〇町村は、市又は人口八千以上の町村に合併して解消すること。 |
2、 |
七、八三二町村中残りの六、三三二町村は、平均四ケ町村ごとに合併して一、五八三町村とすること。 これにより差引き四、七四九町村が減少すること。 |
3、 |
1及び2により減少する町村の合計数は六、二四九、合併計画完了後の町村数は、三、三七三となること。 |
二、昭和三十年四月に大多数の町村では議員及び長の選挙が行われるので、それまでに目標の八〇パーセントを達成することを目途として、次により合併を行うものとすること。
年度別区分 |
合併 進捗率 |
減少 町村数 |
一府県減少 町村数 |
減少町村数 の内訳 |
備考 |
市大町村の 合併町村数 |
一府県平均 |
町村相互の 合併町村数 |
一府県平均 |
昭和28年度 |
15 |
937 |
約 21 |
225 |
約 5 |
712 |
約 16 |
|
昭和29年度 |
65 |
4,062 |
約 88 |
975 |
約 21 |
3,087 |
約 67 |
|
昭和30年度 |
10 |
625 |
約 14 |
150 |
約 3 |
475 |
約 11 |
|
昭和31年度
(9月末日まで) |
10 |
625 |
約 14 |
150 |
約 3 |
475 |
約 11 |
|
計 |
%
100 | 6,249 |
約 137 |
1,500 |
約 32 | 4,749 |
約 105 |
|
三、二の目標を達成するために
1、 |
各都道府県においては、おおむね、本年中に管下町村の実態調査を終了するものとすること。 |
2、 |
各都道府県においては、町村合併促進審議会を設置し、昭和二十九年三月末日までに各都道府県別町村合併計画を作成するものとすること。 |
四、政府・都道府県・市町村及び関係機関等は、昭和二十八年度中は町村合併に関する啓発宣伝その他合併の準備に力を注ぎ、昭和二十九年度中に本格的な合併を実施するものとすること。
このような町村合併促進の基本計画のもとに、全国的な基本計画をたてて、画期的大事業を積極的に推進する方針を閣議で決定したので、山梨県としては、特に小町村の多いのにかんがみ強力に推進する必要があり、「町村合併啓発宣伝要領」により地方事務所を単位とした町村規模合理化促進協議会(任意機関)を設置して、啓発宣伝に努めるとともに、町村の実態の把握、資料の収集につとめ、講演会、座談会を開催して町村合併の気運の醸成につとめることとしたのである。
一方町村においては、主要公職者会議を開催し、指導者層の認識を深め村民大会、部落懇談会等を開催し、町村合併の趣旨および利害を理解せしめる等あらゆる階層について協力を求めたのである。
昭和28年12月23日身延中学校において、南部(北)ブロック別町村合併促進懇談会を開催、(身延・下山・豊岡・大河内)したのが始めとなり、ついで昭和29年2月2日身延町身延中学校において、南巨摩・西八代両郡南部ブロック町村合併促進協議会が開催され、関係各村毎に町村合併促進協議会を設けることを決定した。(出席者、町村長・助役・収入役・正副議長・事務担当者)
昭和29年4月13日第1回身延町外3ヵ村の合併促進協議会が身延町役場において開かれてより、それぞれの町村において部落懇談会等を開き、合併の利害、問題点をとりあげ合併気運の醸成につとめたが、各町村のあしなみは必ずしも一致せず、大河内村には単村独立論や、2月11日合併反対論があり一時は合併協議会の席を蹴って立つという事態もあった。また下山村には中富町(当時の原村)からの強いよびかけもあって身延との合併反対論も強く、かなり険悪な空気になったこともあったが、結局は県の強いあっせんにより、全国に知られた身延山を中心に統合することが将来の大計として有利であるとの判断が大勢を占め、昭和30年初頭に至ってようやく一本化したのである。
合併に至る経過については、資料の「廃止分合申請書」の中に詳しく述べられている。
発第一号
昭和三十年一月二十八日 |
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南巨摩郡 |
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下山村長 |
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古屋慶信 |
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南巨摩郡 |
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身延町長 |
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佐野京治 |
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南巨摩郡 |
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豊岡村長 |
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鴨狩庸雄 |
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西八代郡大河内村長 |
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佐野祥盛 |
山梨県知事職務代理者
矢沢頼忠殿
町村の廃置分合申請書
南巨摩郡下山村・身延町・豊岡村及び西八代郡大河内村は地域的に隣接し、従来から人情、風俗、産業等において実情が相通じているので、この際これらの町村を合併することは、将来の発展繁栄を約束し、住民の福祉を増進するところが大きいので、昭和三十年二月十一日を期し合併が実施せられるよう関係町村の議会の議決を経てここに関係書類を添えて申請します。
添付書類
六、新町名選定の理由、新事務所の位置及びその位置決定の理由
(ヌ)町村合併促進法の規定により他の法律の特例を設けることについて協議が成立した旨の告示の写
  
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