第四節 家庭教育

 家庭教育は社会教育の一環をなすもので、これを定義づけると「家庭教育は、家庭を場として、家庭の人々相互の間に行なわれる教育である」ということができる。家庭教育は各自の家庭で、それぞれ行なわれているわけであるが、最近は3歳児教育とか、入学前児教育とか、幼児教育の重要性が叫ばれるようになってきた。家庭教育の振興のため本町では、家庭教育学級や、青少年のための町民会議等で種々計画実施している。

一、家庭教育学級

 家庭教育の振興をはかり健全な子どもを育成するためには、近代社会における家庭の意義、家庭の機能とその教育的役割りについて、両親等の自覚を促し家庭教育に対する自信を深め、その実践を充実することが必要である。
 このために、家庭教育に関する学習を目的とする「家庭教育学級」を、昭和38年文部省が計画し、各府県にモデル学級を設置し普及につとめ、各小学校を単位として学級を開設するよう奨励した。身延町においても、昭和41年度から下山・身延・豊岡・大河内の4地区に連年開設している。
 なお家庭教育振興にあたっては公民館を中心に、PTA・婦人会・青年団等その他各種社会教育団体等と連携をはかり、地域全体の体制を整え、家庭教育環境の整備充実に努力することが望まれる。

二、青少年のための身延町民会議

 田辺知事は、盛りあがる県民の総意を集め、行政と民間との連帯感に立って、青少年のための県民会議を設けた。会議は「明るい家庭十二の実践項目」を定め、「家庭の日」を設け、「家族会議」の開催等の推進につとめている。
 本町においても、昭和43年7月「青少年のための身延町民会議」が結成された。
 「家庭の日
(趣旨)
 家庭は私たちの生活の基盤であり、特に子どもを育てる大切な場である。健康で明るい青少年育成は、まず楽しい家庭づくりからはじめねばならない。
 そのため、全県民が青少年のかぎりない成長を願って、家族の団らんにつとめ家族全員の意志の疎通、感情の融和をはかり、相互に話し合いと協力の心を培う契機とするため「家庭の日」を定め、全県下の家庭が積極的に実施するよう、広く県民運動として推進しようとするものである。
(実施日)
 毎月第一日曜日(昭和四十三年四月より実施)
 「家庭の日」 実践例
1、家庭みんなで話しあう。
家族みんなで、それぞれの経験や希望など語り合い共に励ましあう。
きょう一日の出来事や、日頃思っていることを話しあう。
テレビを見たり本を読んだりして感じたことを話しあう。
仕事などで遠方にいる人、家庭をはなれている人と便りを出しあう。
「母と子」「父と子」の二十分間読書などを行なう。
日課を決めて規則ある生活をする。
旅のエチケット、人をたずねる時のエチケットなどを話しあう。
交通事故防止、健康の増進など身近な問題を話しあう。
2、 家族みんなで楽しみあう。
みんなで歌い、みんなで遊ぼう。
楽しいふん囲気のなかで、豊かな情操を養う。
家族そろって夕食を楽しむ。
家族そろって自然を楽しむ。
アルバムの整理をして、楽しみを分ちあう。
老人にプレゼントをする。
家庭ゲームを楽しむ。
親しい人の合格就職を祝う。
みんなで恵まれないこどもや老人とともに、楽しい時間をもつようにする。
3、 家族みんなで力をだしあう。
みんなで家の内外の掃除をする。
力を出し合って部屋の掃除や花づくりなどをする。
となり近所の人と協力して、道路や下水などをきれいにする。
みんなで家事の分担をする。
わが家の防止(火災、盗難等)対策を立てる。
親の仕事、子どもの進学など、みんなで理解しあって協力する。
家族そろって日曜大工をする。
みんなで不用物、汚物の処理をする。
 子どもの意見や発案をとりあげ、同時に親の考えや願いを知らせるなど、相互の理解と精神的結合を深め、また楽しいレクリエーションで喜びをともにし、みんなで力を出し合って家族を中心としたよい環境を作り明るく健康な家庭を築くものとするが、具体的にはつぎの「みんなでつくる明るい家庭十二の実践項目」を実践するよう期待している。

 小中学校編成状況 (昭和44年5月1日現在)
学校別
学年別   性別
1年 2年 3年 4年 5年 6年 合計 学級
教職員数

下山 14 20 34 19 18 37 22 24 46 15 23 38 28 23 51 27 32 59 125 140 265 9 6 5 11
身延 57 39 96 48 38 86 47 41 88 42 47 89 51 41 92 50 46 96 295 252 547 15 8 10 18

本校 10 7 17 18 11 29 16 12 28 16 11 27 15 13 28 18 12 30 93 66 159 6 6 2 8
清子
分校
7 0 7 1 3 4 3 1 4 5 2 7 5 3 8 6 5 11 27 14 41 3 1 2 3
17 7 24 19 14 33 19 13 32 21 13 34 20 16 36 24 17 41 120 80 200 9 7 4 11
帯金 11 6 17 6 13 19 14 10 24 12 16 28 12 10 22 15 12 27 70 67 137 6 4 4 8
大和 11 13 24 3 11 14 12 5 17 9 15 24 18 12 30 12 13 25 65 69 134 6 5 3 8
110 85 195 95 94 189 114 93 207 99 114 213 129 102 231 128 120 248 675 608 1,283 45 30 26 56

下山 29 30 59 33 22 55 29 28 57     91 80 171 6 10 2 12
身延 51 45 96 45 35 80 51 44 95     147 124 271 8 12 2 14
豊岡 25 14 39 12 16 28 17 20 37     54 50 104 3 5 2 7
大河内 28 38 66 36 39 75 54 38 92     118 115 233 7 10 2 12
133 127 260 126 112 238 151 130 281     410 369 779 24 37 8 45
  小中
合計
1,085 977 2,062 69 67 34 101

1、 おたがいに「おはよう」「おやすみ」「ありがとう」を言おう。
2、 おたがいにその日の予定を知らせあおう。
3、 家庭の仕事は家族みんなで分ちあおう。
4、 おたがいに約束したことは実行しよう。
5、 親は子に、子は親に愛情がすなおにつたわるようにしよう。
6、 みんなで花をつくり花をかざろう。
7、 でかけるときはおたがいにその行く先を知らせあおう。
8、 お客やお友達は、みんなで気もちよく迎えよう。
9、 夕食は家族そろって楽しく食べよう。
10、 親子いっしょに良い本をよんで話しあおう。
11、 家族そろって遊ぎや合唱などをしよう。
12、 きょうのできごとをおたがいに話しあおう。
(モデル地区の指定)
 昭和43年度は波木井3区をモデル地区に指定して「明るい家庭づくり」のテーマのもとに、育成会を中心に各家庭の協力を得て、1年間研究を続け、昭和44年2月研究会を開きその成果を発表した。
 なお昭和44年度は相又下区を指定した。