第二節 家庭教育のとり上げ方家庭教育は、その重要性から、あらゆる機会、あらゆる場所を通じてとり上げられるべきであるが、特に公民館・学校開放・PTA・婦人会・青年団等において、その地域の実情に即し、組織的、継続的に行なわれることが望ましい。一、公民館と家庭教育公民館は地域のすべての住民に対して平等に解放されている。公民館は問題を解決する共通の広場である。乳児の保育もしつけも、部落の子供の問題も、青年の研究も、家庭の民主化や、家庭生活の合理化も、公民館を場として研究され、それが各家庭で実践されることが望ましい。部落の道路を廊下と考え、各家庭と公民館をむすんで、よい家庭教育が行なわれるようにしたいものである。そのためには公民館には家庭教育に関する図書や写真・絵図・スライド・紙芝居等その他問題解決のための資料を豊富に充実すべきである。二、学校開放と家庭教育社会教育法第44条に「学校の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用するように努めなければならない。」と規定されている。特に「社会学級講座は、成人の一般的教養に関し、小学校又は中学校において開設する。」と法文にあるが、この講座を開設する場合には、地域の持つ課題を洞察するとともに、参加者が当面している身近な問題をとり上げて、研究討議し、家庭教育を推進するようにしたいものである。三、PTAと家庭教育PTAが学校後援会的性格から、子供の福祉を増進するための本来の使命に向いつつあることは真に喜ぶべきことである。各町村でPTA講座や、PTA学級等において家庭教育の問題が、主要議題としてとり上げられている。更に組織的計画的に進めるためには、家庭教育委員会を設置すべきである。従来一般的な問題が多くとり上げられているが、個々の家庭のそれぞれの子供については、その子供だけに見られるいろいろの問題があるわけである。それらの問題を早く発見し、よく診断し、早期に治療して行くためには学校内に家庭教育相談室の開設が必要である。特に問題行動の強い子供については、児童相談所等とも連絡をとって教育の万全を期したいものである。四、婦人会と家庭教育婦人は一般に家庭において、主として消費的な役割りを担当するとともに子供の教育に当たり、生活の大部分を家庭に営んでいる。その婦人が従来不遇な立場におかれていたことは、婦人自身のためにも、子供のためにも、ひいては家族全体のためにも、決して喜ぶべきことではなかった。地域婦人会は、この家庭婦人をもって組織され、主として婦人の教養を高め、その地位の向上を図ることを目的としている。従って、家庭における婦人の立場を正しく位置づけ、家庭生活を合理化し、家庭における子供の生活指導等、家庭教育の全般に亘って婦人会の事業に期待するところはまことに大きいわけである。家庭教育の対象となるものは、乳幼児、小・中・高校生・青年等になるが従来は乳幼児の問題や、小中学生の学習問題等に傾いていたような感がある。しかし思春期の子供や、反抗期の青年の指導、進学、職業選択、純潔教育、男女の交際、恋愛、結婚等、いずれも家庭にとって重要な問題がある。これらの問題については婦人の愛情と、細やかな配慮によって指導され、処理されるよう期待するものである。 五、青年団、青年学級と家庭教育青年は近い将来に新しい家庭の建設を夢みながら、正しい生き方を身につけている。「家庭のことは家庭をもってからだ」と簡単に割りきって、安閑としているべきではない。よい家庭を作るためには、家庭についての研究が十分なされねばならない。しかし現実の家庭や、現実の社会を離れて、新しい家庭はあり得ない。結局現実の自己の家庭を見つめて、家庭の人々と共に、望ましい家庭を築く努力が必要である。そこで、男女の交際、理想的な結婚、新しい家庭のあり方、衣食住の改善、健康管理、乳幼児の世話、家庭のレクリエーション等に特に意を用いてほしいものである。 |