第二節 公民館とその活動

一、公民館の必要性

 終戦後社会教育活動は、あらゆる面で活発に展開されてきた。青年団体・婦人団体・PTA等民主団体の結成と、その教養向上のための諸活動、成人教育講座並びに各種文化講座の開設、視聴覚教育、図書館の利用、産業経営の知識の普及、各種広報活動等の諸活動を通じて、町村民の啓蒙に大きな効果を収めてきた。なお一層その効果を収めるとともに、これからの活動を総合的に運営し、住民の力を郷土建設のための課題発見と、これが解決をいちずに結集するために、何等かの組織的な機構と施設が必要になった。この要請にこたえるものが公民館である。

二、公民館誕生の経過

 公民館という名称は、昭和の初め、岩手県に水沢公民館があり、公民館的施設として類似の活動をしていたものはその他に2、3あるにはあったが、公民館運動の進展は戦後のことである。昭和21年文部次官通達により公民館活動は台頭し、荒廃した郷土民の心をうるおし、その運動は全国に波及した。しかし、青空公民館で施設面に欠けて現在にまで尾をひいている。昭和24年社会教育法公布により、法的根拠が与えられ、公民館が社会教育の中心拠点として、設置並びに運営さるべきことが、はっきりと規定されることになった。本県では、昭和23年増穂町に最初の公民館が設置され、今日では各町村に設置されるに至っている。

三、公民館の性格

  公民館とは
、町村民が自由に集まって、話し合い導き合い、お互いの教養文化を高めるための、民主的な社会教育の場である。
、町村民の親睦を深め、相互の和合協力を培(つちか)い、町村自治向上の礎となる社交の場である。
、郷土産業活動を促進する場である。
、町村民の民主主義的な技術の実習として、自由に討議論談する場である。
、中央と地方文化の接触交流する場である。
、地域内各種文化団体の、連絡調整を計り協力する場である。要するに公民館は、社会的教養、娯楽、自治振興、民主主義の実習、生活改善、各種団体の連絡を機能的に総合して、成立する郷土振興の中心的機関である。

四、身延町立公民館に関する条例・規則

(一)身延町立公民館条例
 沿革
昭和三十年四月二十九日条例第四十号公布
昭和四十年四月一日一部改正
昭和四十二年四月一日一部改正
昭和四十三年四月一日一部改正
昭和四十三年七月二日一部改正
 (設置する目的)
 第一条 社会教育法(以下法という)第二条の目的を達成するため、法第二一条により本町に公民館を設置する。
 (名称及び位置)
 第二条 公民館の名称及び位置は、下記の通りであり、必要に応じて分館を置くことができる。
身延中央公民館   身延町梅平一、三〇五番地
下山公民館   身延町下山九、〇七三番地
豊岡公民館   身延町相又  四六九番地
大河内公民館   身延町丸滝  六五三番地
身延公民館   身延町梅平一、三〇五番地
2、前項の身延中央公民館は、身延公民館に併設する。
(職員)
 第三条 公民館に下記の職員を置き、分館にも職員を置くことができる。
館長(非常勤)   五名
主事   四名
用務員   四名
2、館長の任期は、二年とし再任は妨げない。館長の欠けた場合における補欠館長の任期は、前任者の残任期間とする。
(運営審議会)
 第四条 法第二十九条により、各公民館に公民館運営審議会をおく。
2、公民館運営審議会の委員の定数は、各館とも一五名とし、その任期は一年とする。
 ただし、欠員を生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(報酬)
 第五条 公民館長並びに公民館運営審議委員の報酬は別表のとおりとする。
 (費用弁償)
 第六条 公民館長並びに公民館運営審議委員が職務のために旅行する場合の費用は、これを弁償する。
2、前項の費用弁償の額は別表のとおりとし、その支給方法は、身延町職員旅費支給条例による。
(経費)
 第七条 公民館の経費は、町費・補助金・寄付金及びその他の収入をもってこれに充てる。
 (その他)
 第八条 本条例に必要な細則は、別にこれを定める。
 付則
 この条例は公布の日から施行する。

 別表 報酬
種別 報酬額
館長
年額12,000円
委員長
1,000円
委員
500円

別表 費用弁償
鉄道賃及び船賃 車賃1キロ
メートルにつき
日当1日につき 宿泊料 食卓料1夜につき
甲地方 乙地方
1等実費ただし1等車の連絡又は1等船室のない路線については2等実費 7円 350円 2,000円 1,600円 400円
備考   宿泊料の甲地方とは、最高の割合の勤務地手当を支給される地域をいい乙地方とは、その他の地域をいう。
鉄道旅行中宿泊する場合における宿泊料は、乙地方の定額とする。
(二)身延町立中央公民館運営規則
 第一条 本館は各地区館相互の連絡調整をはかり、町民のために実際生活に即する、教育文化及び学術に関する各種事業のうち、地区公民館に属しない全町的な事業を行ない、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、福祉の増進に寄与することをもって目的とする。
 第二条 本館は前条の目的達成のため以下の事業を行なう。
 一、定例館長主事連絡に関すること。
 二、公民館職員研修に関すること。
 三、各種団体の育成並びに連絡を図ること。
 四、全町公民館大会
 五、その他公民館の目的達成のための、中央公民館諸事業。
 六、館の施設を住民の集会、その他の公共的利用に供すること。
 第三条 本館に左の役職員をおく。
 一、館長  一名
 二、主事  一名
 三、用務員 一名(但当分の間地区館兼務)
 第四条 本館の役職員の任務は以下の通りとする。
一、館長は公民館の行なう各種の企画実施、その他必要な事務を行ない、所属職員を監督する。
二、主事は館長を補佐し、本館の管理運営の事務を担当する。
三、公民館運営審議会に関しては、別に定めるところの規則による。
 第五条 本館の会議は以下の通りとする。
一、公民館運営審議会は四、七、十、一の定期及びその他必要に応じ、臨時に開催することができる。
二、地区館長(主事)会議は必要に応じて館長これを召集し、地区館の連絡及び各種行事の調整を図る。
  すべての会議は、その構成人員の過半数をもって成立し、その議決は出席者の過半数をもって決し、可否同数の場合は館長の決するところによる。
第六条 本規則改正のための運営審議会は、定数の三分の二以上の出席により成立しその三分の二以上の賛成がなければならない。
 第七条 本規則運用に必要な細則は別に定める。
 付則
 この規則は昭和四十年四月一日より施行する。
(三)身延町立中央公民館運営審議会規則
 第一条 本会は身延中央公民館運営審議会と称す。
 第二条 本会は館長の諮問に応じ、中央公民館における各事業の企画実施につき、調査審議する。
 第三条 中央公民館運営審議会の委員は次の十五名とし、教育委員会がこれを委嘱する。
身延地区   五名
大河内地区   四名
下山地区   三名
豊岡地区   三名
 第四条 中央公民館運営審議会委員は、社会教育委員を兼ねるものとする。
 第五条 中央公民館運営審議会は委員長一名、副委員長三名をおき、その選任は委員会の互選による。
 第六条 委員長は委員会を運営する。委員長事故あるときは副委員長これを代理する。
 第七条 運営審議会は毎年四月・七月・十月・一月の定期及び、その他必要に応じてこれを召集する。
(四)身延町立公民館運営規則
 第一条 本館は所属住民のために実際生活に即する、教育学術及び文化に関する各種の事業を行ない、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
 第二条 本館は前条の目的を達するために次の事業を行なう。
 1、定期講座を開設すること。
 2、討論会、講習会、実習会、展示会を開催すること。
 3、図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること。
 4、体育、レクリエーション等に関する集会を開催すること。
 5、各種団体機関の連絡を図ること。
 6、館の施設を住民の集会、その他公共的利用に供すること。
 第三条 本館は前条の事業遂行のため次の部を置く。
 1、教養部
 2、産業部
 3、図書部
 4、生活研究部
 5、体育厚生部
 第四条 本館に次の役職員を置く。
 1、館長       一名
 2、主事又は書記   一名
 3、部長、副部長  各五名
 4、分館長     若干名
 5、公民館運営審議会の委員長副委員長 各一名
 第五条 部落分館長は館長が委嘱し、運営審議会の委員長、副委員長は委員の互選とし任期は一ヵ年、重任を妨げない。但し欠員補充のため、委嘱又は互選されたものの任期は前任者の残任期間とする。
 第六条 本館の役職員の任務は次のとおりとする。
1、館長は公民館の行なう各種の事業の企画、実施、分館長会の召集その他必要な事務を行ない、所属職員を監督する。
2、主事及び書記は館長を補佐し、本館の管理運営の事務を掌る。
3、部長は部会を招集し、各部事業の立案執行に当る。部長事故あるときは、副部長これに代る。
4、分館長は分館に関する管理運営の事務を掌り、分館に関する一切の責に任ずる。
5、公民館運営審議会の委員長は、委員会を招集し会議を主宰する。委員長事故あるときは副委員長がこれに代る。
 第七条 本会の会議は次のとおりとする。
1、公民館運営審議会は毎月一回開催する。但し必要に応じ臨時に開催することができる。
2、分館長会議は必要に応じて開催し、分館における各種行事の連絡調整を図る。
3、部長会は必要に応じて開催し、各部事業の立案執行にあたる。総て会議はその構成員の過半数を以て成立し、その議決は出席者の過半数を以て決する。
 第八条 本館の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
 第九条 本館の経費は町費、寄付金及び事業の収入を以てこれに充てる。
 第十条 分館の管理経営に関する規則は、分館長これを定め館長の承認を得るものとする。
 第十一条 本規則の改正は、公民館運営審議会において、その出席者が定数に達し、その三分の二以上の賛成がなければ改正することができない。
付則
この規則は昭和三十年四月一日からこれを実施する。
(五)身延町立公民館使用条例
 沿革 昭和三十七年一月十三日条例第二号公布
 第一条 公民館の使用は、この条例の定めるところによる。
 第二条 公民館を使用しようとする者は、使用申請書に所定事項記入の上、あらかじめ公民館長(以下館長という)の承認を受けなければならない。
 第三条 使用者は、前条の承認を得たときは、直ちに別表に定める額の使用料を前納しなければならない。既に納付した使用料は還付しない。ただし、次の各号の一に該当するときは、全部又は一部を還付することができる。
一、使用者の責任に帰さない理由により、使用することが出来なくなったとき。
二、使用期日前五日までに使用の取消しを申し出たとき。
 第四条 左の各号の一に該当するときは、館長はその使用を承認しないものとする。
一、公益を害し、又は風俗をみだすおそれがあると認められるとき。
二、建物、又はその付属物をき損するおそれがあると認められるとき。
三、社会教育法第二十七条の規定に違反すると認められたとき。
四、その他、公民館管理上支障があると認められるとき。
 第五条 館長が特別な理由があると認めたときは、使用料を減免することができる。
 第六条 館長が公民館の使用を許可した時は、教育委員会に通報しなければならない。
 第七条 使用者が次の各号の一に該当するときは、館長はその使用条件を変更し、使用を停止し、又は承認を取消すことができる。
 一、申請書に偽りがあったとき。
 二、使用承認の条件に違反したとき。
 三、公の秩序、又は善良の風俗に反すると認めたとき。
 四、その他、この条件に違反したとき。
2、使用者は、使用中に故意又は過失により施設、設備又は器具の滅失又はき損があった場合は、その修理又は補充に要する費用につき、館長の認定する額を負担しなければならない。
 第八条 使用者は、承認をうけた目的以外に使用し、又はその使用の権利を譲り渡し、若しくは転貸することはできない。
 第九条 館長は、使用者に対して必要な設備をさせ、又は制限することができる。
 第十条 使用者は、使用の際特別に設備をなすときは、館長の承認を受けなければならない。
 第十一条 使用者は、使用を終ったとき、又は第七条によって、その使用を取消されたときは、直ちに設備を原状に復し、且つ館内を清掃し、館長に引き渡さなくてはならない。
2、使用者が、前項の義務を履行しないとき、又は履行が充分でないとき、館長は使用者にかわって原状に回復する。
3、前項の場合の使用者は、原状の回復に要する経費を弁償しなければならない。
 第十二条 使用者は、使用中建物及び施設、設備等を破損した時は、損害額を賠償しなければならない。
 第十三条 この条例に定めるものの外、必要な事項は教育委員会が定める。
 付則
 この条例は公布の日から施行する。
別表 公民館使用料
 (昭和四十三年六月二十四日改正)
時間
区分
午前
9時−1時
午後
1時−5時
夜間
6時−10時
1日前
9時−後10時
全部 600円 600円 1,000円 2,000円
一部 300円 300円 500円 1,000円