第五節 衛生統計

一、出生児の動態

 本町長期建設計画関係の人口に関する資料によれば、出生率は昭和22年の34.3パーセントをピークにして、25年より低下し42年には9.1パーセントに低下した。35年より40年までの出生率は県も国も安定し40年には増加の気配さえあるのに反し、本町は減少の一途をたどっている。原因は青年層の都会流出、産児制限、経済力等複雑な問題がからみ合っている。

  表1  出生率
(人口1,000人対  単位%)
年度別
区 分

35年
36年 37年 38年 39年 40年
身延 17.4 15.8 15.0 15.3 14.6 12.1
山梨 16.3 16.5 15.6 16.2 15.9 17.6
全国 17.2 16.9 17.0 17.3 17.7 18.5

  表2  地区別年次別出生数と率
地区別
数と率
年次別
下山 身延 大河内 豊岡 合計

(人)

(%)
昭和38 38 18.2 79 37.9 57 27.4 34 16.3 208
昭和39 36 21.4 54 32.1 51 30.3 27 16.0 168
昭和40 39 21.9 69 38.7 43 24.1 27 15.1 178
昭和41 22 19.0 42 36.2 35 30.2 17 14.6 116
昭和42 21 15.6 54 40.0 32 23.7 28 20.7 135
昭和43 34 15.0 57 13.0 14 7.0 46 12.1 151

二、学童の身体状況

 町内小中学校児童生徒の体位の状況について、昭和25年から43年までの間、5年毎に各校の身体検査票の平均を出し、その推移の状況を年齢別、男女別に表3にあらわしてみた。戦中、戦後の様子は終戦の混乱期と学制の改革期とが重なり、資料が得られずその状況がつかめなかったのは残念である。しかし、全国的な統計資料からみると、終戦前後の食糧難や、強制労働などが要因となって、22〜3年頃は、各年代とも最低とされており、逐次食糧難は解消され、生活の安定にともない、いちじるしい伸長をみせており、43年度においては、いずれも県平均を上回っている。また25年と43年を比較してみると、身長において6歳、12.1センチメートル。12歳、11.3センチメートル。14歳、15.9センチメートルと大幅に伸びている。特に身長体重とも、12歳〜14歳の伸びが顕著なのは、中学校における課外活動、体育指導のたまものと思われる。胸囲の状況は、身長・体重に比して伸び悩みであるが、戦後、生活様式が変わり労働によるからだの酷使が少ないので、身長のスマートな体格に変ってきたことと思われる。

  表3  町内小中学校児童生徒の体位の推移
年度
性別
年齢
種別
25年度 30年度 35年度 40年度 43年度 25年度と43年度の比較 県平均
(42年度)
男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子
身長  6歳
cm
102.4
108.9 108.6 107.4 110.4 111.1 112.9 111.3 114.5 112.3 +12.1 + 3.4 113.6 111.3
 8歳 118.5 118.2 120.0 119.0 120.9 120.0 122.8 121.9 124.9 123.9 + 6.4 + 5.7 124.5 121.9
10歳 127.8 125.8 128.9 128.5 130.6 131.5 133.0 132.5 134.3 135.6 + 6.5 + 9.8 134.3 132.5
12歳 134.9 135.6 138.8 138.9 140.9 144.4 145.0 145.3 146.2 148.0 +11.3 +12.4 145.5 145.3
14歳 144.4 147.9 151.0 148.2 155.3 150.3 156.4 153.2 160.3 153.7 +15.9 + 5.8 159.0 153.2
 

 6歳
17.4
17.9 17.9 18.0 18.3 18.4 18.9 19.2 19.9 19.0 + 2.5 + 1.1 19.8 19.2
 8歳 22.3 21.9 22.5 22.0 23.0 22.3 24.0 23.1 24.5 23.3 + 2.2 + 2.2 25.1 23.1
10歳 26.7 25.1 27.0 27.0 27.8 28.0 29.1 29.0 29.4 29.7 + 2.7 + 3.0 29.4 29.0
12歳 30.6 31.2 32.2 32.7 33.8 36.4 36.5 37.0 36.0 41.2 + 5.4 +10.0 39.0 37.0
14歳  37.0  42.7  42.1  43.6  43.4  44.5  45.7  45.8  47.8  48.0 +10.8 + 5.3  46.4  45.8
 

6歳 cm
52.3
54.3 55.9 54.5 55.6 55.7 55.1 53.7 56.5 54.6 + 4.2 + 0.3 57.6 53.7
8歳 60.5 58.6 60.0 58.0 60.0 58.5 60.7 58.5 61.0 59.1 + 0.5 + 0.5 60.8 58.5
10歳 63.0 60.1 63.2 62.5 64.0 63.1 64.3 62.5 65.3 63.5 + 2.3 + 3.4 66.1 62.5
12歳 66.6 66.4 67.1 65.8 69.1 70.5 70.4 70.0 68.8 73.2 + 2.3 + 6.8 69.7 70.0
14歳  72.2  76.7  73.0  77.9  76.1  78.0  77.5  76.7  78.1  79.1 + 5.9 + 2.4  77.3  76.7

 表4は、町内小中学校児童生徒の歯牙の状況を学校ごとにみたものである。
 むし歯の患者の割合は、小中学校とも県平均をはるかに上回っており、特に大河内地区内の小中学校は、90パーセント以上が患者である。また、治療した児童生徒の割合も少ない。それは歯に対する関心が薄いのか、あるいは、医療機関の関係上治療に困難な状況ではないかと推測される。とにかく、歯は健康のもとであり、学齢期にある児童生徒の歯に対する関心と、予防治療が必要である。

  表4  町内小中学校児童生徒の歯牙の状況 (43年度)
小中学校別
学校名  
項目
小学校 中学校
下山 身延 豊岡 大和 帯金 町内
平均
下山 身延 豊岡 大河内 町内
平均
健康な歯の人
6.2

1.6

1.8

2.1

0

2.3

0.6

10.5

8.4

0

4.9
完全治療の人 8.8 8.4 5.6 7.0 4.1 6.8 2.5 21.3 23.0 7.3 13.5
むし歯の被患者 85.0 90.0 92.6 90.9 95.9 90.0 96.0 68.2 68.6 92.7 81.4
1人平均むし歯の数 2.5本 4本 5.2本 4.8本 8.1本 4.9本 5.9本 2.2本 2.1本 6.2本 4.1本
県平均むし歯被患者 85.5% 72.2%

 身延小学校では昭和43年度よりPTAが中心となり「むし歯半減五ヵ年計画」を立て、今後歯磨きの励行、検査の徹底と治療カードの発行、回収、優良児の表彰等積極的に治療に当たり、44年度には早くもその効果がはっきりと表われて大いにその成果が期待されている。

三、法定伝染病の発生状況

 法定伝染病の発生については、古い時代のことは不明であるが、下山本国寺過去帳によれば、徳川中期以来時々短期間の中に多数の死者のあったことが知られる。これらは恐らく伝染病の流行によるものと考えられる。明治より昭和初期までは、赤痢・チフスが多かった。現在では、赤痢(症状の軽いもの)日本脳炎・ジフテリア・ポリオ等に限られている。
 昭和30年以来の発生状況は表5のとおりである。

  表5  身延町法定伝染病発生状況

伝染病名 地区別
下山 身延 豊岡 大河内
30年 赤痢   1   1 2
日本脳炎       1 1
小計   1   2 2
31年 赤痢 8 6 4 2 20
小計 8 6 4 2 20
32年 赤痢 1 2 1   4
日本脳炎   1 1   2
小計 1 3 2   6
33年 赤痢 1 3 4   8
日本脳炎   1     1
小計 1 4 4   9
34年 ジフテリア 10     1 11
赤痢   10 3   13
日本脳炎     1   1
小計 10 10 4 1 25
35年 赤痢 1 8 1 5 15
小計 1 8 1 5 15
36年 赤痢 1 3     4
ジフテリア   1   9 10
ポリオ   1   1 2
小計 1 5   10 16
37年 赤痢   1   3 3
ジフテリア       1 2
日本脳炎       1 1
ポリオ       1 1
小計   1   6 7
38年 赤痢   3 4   7
ジフテリア   1     1
小計   4 4   8
39年 赤痢 2 1 1 11 15
ジフテリア   1   1 2
日本脳炎       1 1
小計 2 2 1 13 18
40年 赤痢   3     3
小計   3     3
41年 赤痢 47 17   7 71
ジフテリア 1   1   2
ポリオ     1   1
小計 48 17 2 7 74
42年 赤痢   2   3 5
日本脳炎   1     1
小計   3   3 6
合計 赤痢 61 59 18 32 170
日本脳炎   3 2 3 8
ジフテリア 11 4 1 12 28
ポリオ   1 1 2 4
72 67 22 49 210