第二節 民生事業

一、民生委員の沿革とそのしごと

 民生委員は、民生委員法第1条に、社会奉仕の精神をもって、保護指導のことに当たり、社会福祉の増進に努めるとあり、第2条に、常に人格の向上と、その職務を行なう上に必要な知識および技術の修得に努めるとあるように、高潔なる指導精神が要求される。民生委員制度の前身である済世顧問制度が設けられてから、昭和44年まで52年間、実に半世紀にわたり、民生委員は社会福祉のために地下水的役割を果たして来た。
 町村合併以前においては下山は望月惟臣、身延は長谷川寛慶、豊岡は千頭和政義、大河内は小林月渓等が中心になって戦後混乱時代の民生事業を推しすすめてきた。民生委員の資格要件は、法第6条の示すように当該市町村の議会の議員の選挙権を有する者のうち、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、社会福祉の増進に熱意のある者であって、児童福祉法の児童委員としても適当である者でなければならない。委員の任期は3年で、その職務は、
1、常に調査を行ない、生活状態を審(つまびら)かにしておく。
2、保護を要する者を適切に保護指導する。
3、社会福祉事業施設と密接に連絡し、その機能を助けること。
4、社会福祉事業法に定める福祉に関する事務所、その他の関係行政機関の業務に協力すること。
 前項の外、必要に応じて、生活の指導を行なう。と定められている。
 民生委員は、まず市町村の民生委員推薦委員により適任者が選ばれる。知事はこれを民生委員審査会に諮問し、意見を聞いて厚生大臣に推薦し、大臣はこれに基づいて民生委員として委嘱する。民生委員推薦委員会は市町村長が左記の者のうちから、それぞれ2人以内を委嘱することになっている。昭和44年度より昭和46年までの民生委員は、次の各委員によって選出された。

  表1  生活保護費支給明細
区分
年度
生活扶助 住宅
扶助
教育扶助
(給食)
医療扶助 生業
扶助
出産
扶助
葬祭
扶助
合計
42 55戸 109人   51人  
  2,999,827円   205,701円 12,499,200円       15,704,728円
 
  表2  生活保護概況 (昭和43年)
生活扶助 教育扶助
学校給食分
医療扶助 合計
入院 通院
55戸
109人
139人 25人 18人 291人
2,998,827円 205,701円 12,000,000円 972,000円 16,176,528円
  (疾病内訳精神障害者14人、結核6人、一般23人 計 43人)

 民生委員推薦委員会
 推薦委員長 深沢徹
 市町村の議会の議員(堀一勇・深沢徹)
 民生委員(千頭和政義・石川重利)
 社会福祉事業等の実施に関係のある者(長谷川寛慶・秋山智孝)
 市町村の区域を単位とする社会福祉関係団体の代表者(大野熊夫・佐野数恵)
 教育の関係のある者(望月正一・望月栄)
 関係行政機関の職員(小笠原敏光・石川金雄)
 学識経験のある者(鮎川省三・市川喜美子)
 民生委員は運営上民生委員協議会を組織しているが、役員は総務1、副総務4となっていて関係機関と提携し、担当区域を定め、任務遂行のための連絡・資料収集・研修等を行なっている。
 民生委員は、個人の人格を尊重し、身上に関する秘密を守り、人種・信条・性別・社会的身分または門地によって、差別的または優先的取扱いをすることなく、その処置は実情に即して合理的でなければならない。またその地位を政党または政治的目的に利用してはならないことが、第15・6条に示されているが本町民生委員は法令の趣旨に沿い忠実に真剣に業務を遂行している。

民生委員名簿
  昭和31.12.1
〜34.11.末
昭和34.12.1
〜37.11.末
昭和37.12.1
〜40.11.末
昭和40.12.1
〜43.11.末
昭和43.12.1
〜46.11.末
担当地区
1 深沢亀吉 上田本昌 上田本昌 上田本昌 上田本昌 上沢
2 松木四郎 深沢仁一 遠藤みち子 遠藤みち子 望月宗 大庭
3 佐野国太郎 佐野タキ子 佐野タキ子 佐野タキ子 遠藤よしえ 仲町
4 遠藤てるよ 遠藤てるよ 遠藤てるよ 秋山智孝 近藤保 本町・竹下
5 石川重利 石川重利 石川重利 石川重利 石川重利 荒町・杉山
6 山本岳乗 山本岳乗 井上あき子 井上あき子 望月富恵 新町・山額
7 竹下幸内 石川剛 石川剛 石川剛 石川剛 大工町
8 川口源治 渡辺貞夫 松永実 望月武雄 望月諦三 粟倉・小原島
9 内藤泰作 藤田弥生 大久保豊繁 藤田弥生 藤田弥生 波木井1区・2区
10 藤田政一 藤田政一 藤田政一 藤田政一 藤田政一 波木井3区
11 若林芳子 若林芳子 望月嘉幸 望月富貴子 望月富貴子 塩沢
12 田中定光 田中定光 田中定光 田中定光 田中喜内 清住町
13 岡本平吉 望月伊織 雨宮勉 深沢為吉 深沢為吉 上町・仲町
14 佐野仙三 佐野仙三 青鹿たわ 日吉松子 日吉松子 橘町・元町
15 佐野数恵 佐野数恵 佐野数恵 佐野数恵 芦沢はなよ 梅平1区
16 鴨狩広 藤田文内 佐々木勇夫 依田光弥 依田光弥 梅平2区
17 雨宮愛紀 沢村清一 沢村清一 沢村清一 青沼富男 大野
18 望月堯海 望月堯海 長谷川寛慶 長谷川寛慶 町田是正 東西支院
19 千頭和郷治 千頭和政義 千頭和政義 千頭和政義 遠藤敏雄 相又上
20 市川やえ 市川やえ 千頭和利作 千頭和利作 千頭和利作 相又下
21 望月政吉 望月政吉 望月政吉 望月政吉 望月信一 大城
22 大沢幸房 佐野亮 遠藤俊正 若尾三枝子
佐野巌
佐野巌 清子
23 種部かつ 鴨狩富治 鴨狩富治 鴨狩富治 鴨狩らくゑ 小田舟原
24 島崎栄 島崎栄 島崎栄 島崎栄
佐野宗作
佐野宗作 光子沢
25 木内昌博 渡辺保義 渡辺保義 渡辺保義 遠藤ふみえ 横根
26 鴨狩さよ 鴨狩さよ 鴨狩さよ 堀内きぬ 小林正雄 門野
27 鮎川太郎 鮎川太郎 鮎川太郎 鮎川太郎 鮎川太郎 上下八木沢
28 望月浪江 沼沢真梁 沼沢真梁 沼沢真梁 海野嘉幸 帯金
29 深沢秀子 坂口起一 坂口起一 坂口起一 坂口起一 塩之沢・大垈・椿草里
30 小林月渓 小林月渓 小林月渓 小林月渓 小林月渓 和田樋之上
31 市川清 片田とよの 片田とよの 片田とよの 遠藤晴信 上大島
32 高野忠子 高野忠子 高野忠子 高野忠子 市川治義 角打1
33 鈴木武重 今村鈴江 今村鈴江 中村英文 中村英文 角打2
34 片田銀五郎 鈴木正巳 鈴木正巳 鈴木正巳 鈴木正巳 丸滝・大崩
35 佐野義広 近貫法 佐野義広 佐野長治
市川延子
市川延子 下大島

二、民生委員とその分担区域

 本町の民生委員は35名で、内訳は下山8名・身延18名・豊岡8名・大河内9名となっている。合併後法改正で若干人員を減らされたので旧町村時代1人1部落というような地区もかけ持ちということになった。従って、地区によっては保護対象者の増減により任期ごとに担当区域の変動があったりしている。
 合併前の歴代民生委員については不明の点があるが、合併後の民生委員は別表のとおりである。