第三節 福祉事業施設

一、公営住宅

 公営住宅に2つの意味がある。広義には、公共団体が住民のために建設しこれを賃貸管理する住宅をいい、狭義には、昭和26年に制定された公営住宅法により、地方公共団体が国の補助をうけて建設し、これを賃貸管理する住宅とその付帯施設をいう。
 疎開や戦災により、本土の住宅はその5分の1に当たる265万戸を失い、多くの海外引揚者を迎え、空前の住宅難に直面した。ここにおいて政府は公営住宅法を制定し、国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸し、もって国民生活の安定と社会福祉の増進を図ろうとした。法によれば、第1種公営住宅(入居申込日に月収20,000円を越え36,000円以下である者、家賃の6倍が20,000円未満の場合は、その額を越えている者に貸与する)、第2種公営住宅(入居申込日に月収20,000円以下の者、或は罹災して住宅を失った低所得者に貸与する)がある。国は第一種に建設費の2分の1、第2種に3分の2を補助している。

  表1  町営住宅建設の状況
昭和44年1月現在
    表2  公営住宅の現況
(昭和44年1月現在)
建設年度 団地別 種別 戸数 家賃額
昭和年
30
丸滝団地 1 10 1,700
30 丸滝団地 2 10 900
31 波木井団地 1 10 1,800
31 波木井団地 2 5 1,050
31 下山団地 2 10 1,100
32 角打団地 1 7 2,000
32 角打団地 2 10 1,230
34 船原団地 2 6 1,300
35 坂下団地 1 5 2,200
35 坂下団地 2 15 1,400
38 梅平団地 2 20 2,000
42 市路団地 2 16 3,200
1 32  
2 92  
 

町営住宅 引揚者住宅 備考
1種
6畳

2間
2種
6畳

4.5畳
1戸建 2戸建  
下山 上沢 0 10 10 0 0 0
身延 坂下 5 15 20 0 0 0
波木井 10 5 15 0 0 0
梅平 0 20 20 0 0 0
大野 0 0 0 0 2棟 4戸 2戸焼失
2戸廃棄
処分申請
豊岡 船原 0 6 6 0 0 0  
大河内 丸滝 10 10 20 0 0 0
角打 7 10 17 1 2 5戸
市路 0 16 16 0 0 0
合計 9 32 92 124 1 4棟 9戸
(注) 1種は11坪
2種は9坪の建物である。
市路団地はブロック
他は木造
   

 本町においては、引揚者住宅が大野に建設されたのを初めとし、町営住宅、災害者住宅を建設して、住宅困窮者の要望にこたえている。
 また公営住宅管理条例により、入居者選考委員会が入居者決定にあたっている。その概況は表1・2のとおりである。

二、公益質屋

 公益質屋法は昭和2年(1927)8月10日施行され、第1条には、「市町村社会福祉法人ハ本法ニ依リ公益質屋ヲ経営スルコトヲ得」とあるが、本町においては昭和9年(1934)4月1日旧身延町役場に設けられ、多年の間地域住民の公益に資して来たが、時代の変遷につれ近年利用するものが激減し、開店休業の状態であった。これは社会保障の充実と経済の高度成長によるものと思われるが、遂に昭和42年度をもって34年の営業の幕を閉じた。