第五節 住民基本台帳法の制定
地域住民に関する正確な記録を整備することは地方自治の基礎であるが、今日のように人間生活が流動化し、人の移動が激しい状態の下においては、常に住民に関する正確な記録を整備しておくことが、市町村の機関のみの手によっては到底不可能となってきたので、住民からの住所の異動等に関する情報の提供を求め、それに基づいて、住民に関する記録を整備するほかはなく、このような住民に関する届出および台帳に関する基本的な制度として、昭和26年寄留制度に代って住民登録法が制定されて以来、住民の記録に関する基本制度として、居住関係の公証、各種行政事務処理の基礎として、相当の役割を果たしてきた。しかし住民登録法だけでは不統一であり、住民にとって不便であるのみならず、事務処理の合理化、能率化のうえからも問題があり、その記録の正確性と各種行政事務との結びつきも十分でないとして昭和41年3月住民台帳制度合理化調査会の答申がなされた。一方住民の身近にあって、住民の要望を直接うけとめる立場の市町村が、それぞれの実情に即して窓口の改善を行なったが、住民登録、国民健康保険、国民年金、食糧配給、選挙等の事務ごとに別々の届出義務を課し住民にとってもわずらわしく、窓口事務の一元化の障害となっていた。そこで真に住民の利便を図り、行政運営の合理化を期するために、昭和42年7月25日法律第81号をもって住民基本台帳法が制定された。
身延町でもこの法律の定めるところに従い住民異動届書により世帯の全部、一部を問わず転出入、転居、出生、死亡、変更と記載の消除、修正、得失等、国民年金、国民健康保険、選挙、米穀配給のすべてに関する異動の届出が完了するように定め、住民票は個人を単位として作成、一見して個人の氏名、生年月日、性別、続柄、本籍、住所、世帯主等の身分関係と国民健康保険、国民年金、米穀配給、選挙権の有無から年金受給資格状況まで確認できるよう企画し、これを世帯ごとにホルダーに納め、ビジブルレコーダーに格納し昭和44年4月1日より運用している。これによりたとえば成年者が従前の住所地役場から転出証明書、国民年金手帳等関係書類を添付して住民異動届(転入届)を提出することにより配給通帳、国民健康保険証は即座に窓口で作成され、国民年金手帳の住所変更手続が社会保険事務所、また国民健康保険税の賦課、令書の発送、国民年金保険料納付の案内をし、三ヵ月以上の住所要件を満たした一定の時期に永久選挙人名簿へ自動的に登録がなされ、選挙権の行使ができるわけである。
このように自治経営の基礎ともいうべき住民に関する記録を、各行政部門間の有機的な連けいを確保し一本化する制度が実施された。
  
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