印刷【県指定文化財】久遠寺相輪塔

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指定日:平成23年1月6日
所在地:身延上の山4233
所有者:久遠寺

概説

 久遠寺相輪塔は、江戸時代に形成された身延山の霊域、上の山地域内にある久遠寺の支院、大光坊の境内地に所在する仏塔である。上の山地域は明治8年(1875)の久遠寺の堂宇の大半を焼失した火災を免れた貴重な建造物が多く残っている。
 塔身にある銘文から、祖師堂の御宝前において『法華経』3万部読誦成就を供養するための仏塔として、天明元年(1781)造立とされる。大光坊は当初大光庵と称し、寛文5年(1665)に甲府宰相徳川綱重が子孫繁栄の祈願所として寄進した三光堂の別当所で、身延山山頂にある奥之院思親閣への表参道の中間にある寺院で、参詣者の休憩所としての役割を担っている。相輪塔は幾度かの設置場所の変遷を経て、昭和11年(1936)に現在地に移設された。
 相輪塔は、四本の支柱で支えられ、木製の芯に青銅板を張り付けたものとなっていて、一辺5.1m、高さ1.14mの石積み基壇上に、花崗岩製の礎石を基盤として造られ、礎石上面から塔頂部までの高さは、7.45mとなっている。
 相輪塔は、近代以降に作られたものを含めて全国に17基存在するが、それらの多くが九輪(五重塔などの頂上部にある九つの輪装飾)の相輪などで飾られているのに対して、久遠寺相輪塔は、笠塔婆に五輪塔(供養塔、墓塔として使われる仏塔の一種)を乗せた他に類例が少ない特徴的なもので、建造物として希少価値の高いものであるとともに、塔身に10箇所ある銘文には、造立の経緯やこれまでの寺歴で認められていなかった事跡などが記され、歴史的、学術的に貴重な資料ともなっている。

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