印刷金山での作業|粉成(こなし)

粉成

金鉱脈を中心に採掘した鉱石を、搗く、磨る、挽くなどの方法で細かく粉砕して、 鉱石中に含まれる金を単体とさせ、水の中で比重選鉱を行い、金を採取するまでの 一連の作業を粉成(こなし)という。

露頭掘りによって採掘された鉱石は、作業所に運ばれ品位別に選別される。 鉱石の色や模様などを、熟練した人によって何種類にも分類した と思われる。それを焼き窯の中で焼き、熱収縮によって鉱石自体を脆くする。

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石英質の多い鉱石はこれらには不向きだが、少ないものはこの工程があることに より、後の作業がかなり楽になる。焼かれた鉱石は粗砕きの工程に移され、ここで、 搗き石を使って鉱石を粗く砕いていく。
これは脱穀と同じ方法で、杵を利用して おり、それほど力を必要としないため、主に女性向の作業であった。搗き石を受ける 臼である搗き臼を地面に起き、その上に鉱石を置く。

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杵の先には搗き石が備え付けてあり、杵を足で踏んだり離したりを繰り返すこと で杵が上下し、搗き石が鉱石をたたき砕いていく。

粗砕きされた鉱石は次に磨り臼と磨り石や挽き臼を使って微粉化させていく。

磨り臼は磨り面が皿状に窪んだ板状、ないしは台状の臼で、上に粗挽きした鉱石を おいて水を加えながら、片手に持った、握りやすく、磨り合わせの良い磨り石で磨り 潰していく。

挽き臼は、上臼と下臼の二つで初めて機能する。

上下の臼は、それぞれ中央部分に回転用の軸が設けられており、上臼はその軸を 受けて回転する。

上臼には、鉱石を供給する穴があいていて、そこから粗砕きされた鉱石と水を 入れて回転させると、上臼の圧力と下臼の摩擦で鉱石が細かくなる。

特にこの挽き臼は、腰あたりの高さまで台座を作り、そこに動かないように下臼を 埋め込むという特殊な仕組みを組み合わせている。

挽かれた鉱石は、微粉化された泥状となり、臼から出てきて樋を伝い流れ、椀の中に落ちる。

 

汰り分け(ゆりわけ)

山から採掘した鉱石に含まれている金を採取するためには、これを粉砕して 汰り分けなければならない。微粉化された鉱石は水を使って比重選鉱を行い金と 鉱石の滓とに汰り分ける。

比重選鉱とは、比重の重い金を微粉化された鉱石から産出するときに、比重の軽い 鉱石の滓だけを水とともに流し出して取り除く方法のことだが、この作業時に使用された ものが「セリ板」「フネ」「ユリ板(盆)」などの鉱山用具である。

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挽き臼によって微粉化された鉱石は、水と混じり泥状になって椀やセリ板の上に 運ばれていく。

「フネ」に留まった金粒は「汰り(ゆり)板(盆)」と呼ばれる道具を水中で揺らし、他の成分を取り 除き、金だけを採取する。挽き臼によって微粉化された鉱石は、水と混じり泥状になって 椀やセリ板の上に運ばれていく。

セリ板は、斜格子状に刻まれた微妙な角度の鋸目があり、金粒が流下していくときに、金そのものの比重によって鋸目に溜まる。セリ板の格子目中に溜まった金粒は、水をたたえた「フネ」の中に洗い落とされる。「フネ」に溜まった金粒は、「汰リ板(盆)」と呼ばれる道具で水中で揺らし、他の成分を取り除き金だけを採取する。

セリ板の使用方法

1.セリ板の鋸目に溜まった金を洗い出す。

2.セリ板を揺すり、金を汰り分ける。

3.水または粉鉱の混じった水を溜める。

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フネの使用方法

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現存する資料はその大きさから、鉱石を石臼で細かく粉砕する際に、供給孔から注ぐ水と粉砕する鉱石等を溜めておいた道具と思われる。

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