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施設沿革
平成16年9月、身延、中富、下部の3町が合併し、新「身延町」が誕生しました。この3つの町には 長い歴史を語る文化遺産が数多く存在しますが、下部もまた湯之奥門西家をはじめ、天然記念物、民俗文化財、書跡、彫刻など全国に知れ渡っているものが数多くあります。 その大きな歴史の一つとして欠かすことの出来ない「湯之奥金山遺跡」。
遠く中世・戦国時代に栄えた湯之奥金山遺跡は、甲駿国境の毛無山の中腹に位置し、早くからその存在が知られ学術的解明が求められていました。中山・内山・茅小屋の3金山を総称して呼ばれる「湯之奥金山」は、古くから「信玄の隠し金山」として伝承の中で町民に親しまれてきた所です。その中心が中山金山になります。中世の金山については、とかく伝承が先走りして経営実態が曖昧模糊としたまま語り継がれ、なかなか真実から遠かったのも事実です。
湯之奥金山遺跡は、下部町時代、昭和63年度に始まった「ふるさと創生事業」の一環として、地方が自ら考えて自ら行うという基本理念により、平成元年に調査団と調査会を組織、以後三箇年にわたって総合学術調査が実施され、考古学・文献史学・民俗学・鉱山技術史・地質学等々からなる学際的総合調査が進められるに従い、その実態が明らかになりました。ついに歴史的根拠の解明が待たれていた「湯之奥金山遺跡」の姿が解明されたのです。また日本列島の各金銀山遺跡との比較研究を進める中で、この湯之奥金山遺跡が、我が国の山金採掘の金山経営の初源的形態を保っていることも明らかとなり、歴史的、学術的にも価値が高いことが証明されました。
そして、町ではこれを貴重な地域資源として位置付け、この活用方策について広く意見を求め論議を重ねた結果、湯之奥金山遺跡からの出土の品々をはじめ、全国の鉱山所在地の協力による鉱山関係資料、産金の歴史関係資料等を展示することにより、これが日本における鉱山史研究の一端を担うとともに、金山に関する情報発信基地となり、学術文化の振興、地域間交流の促進、それに地域活性化に寄与できることを願いこの湯之奥金山博物館の建設が開始されました。
時あたかも考古学が注目を浴び、また、ほぼ同時期に操業されていた甲州市塩山・黒川金山遺跡とともに、湯之奥3金山のうち中山金山は、我が国において鉱山遺跡としては4番目に、金山遺跡としては3番目の国史跡に指定されました。
下部温泉郷の入り口に建ち、見るだけでなく体験も出来る湯之奥金山博物館は、町の活性化施設・観光施設であるとともに学術文化施設として、下部町の歴史、文化、観光に新しい光を当て、まちづくりへの拠点施設、さらには町として他に誇り得る施設、また未来へ引き継ぐべき偉大なる文化遺産のひとつであることを念願され、平成9年4月に開館しました。(開館時は「湯之奥金山資料館」)。現在は身延町の見所の一つとして、年間通じて多くの来館者をお迎えしております。
この「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」では、映像シアター・ジオラマ模型・資料展示室・砂金採り体験室などを通じて、中世戦国期金山の世界にじっくり浸っていただくことができます。同時に、周りの豊かな自然に癒されながら、この身延町の魅力を感じてください。
事業名 | 平成6~8年度 特定地域における若者定住促進等緊急プロジェクト(自治省)による町単独事業として建設 |
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完成 | 平成9年3月31日 |
開館 | 平成9年4月24日 |
事業費 | 工事請負費(本体・外構・付帯)744,339,405円 |
委託料(本体の計画・設計・監理)36,821,470円 | |
委託料(展示製作)341,967,210円 | |
委託料(外構設計・監理)1,030,000円 | |
総経費 | 1,234,458,440円 |
博物館登録 | 平成10年3月31日(梨博第17号) |
施設概要
名称 | 甲斐黄金村・湯之奥金山博物館 |
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所在地 | 山梨県南巨摩郡身延町上之平1787番地先 |
構造 | 鉄筋コンクリート造り2階建て |
延床面積 | 1,624.26平方米 |
各階面積 | 1階 865.37平方米 |
2階 743.23平方米 | |
その他 15.66平方米 | |
室別面積 | 1階 砂金採り体験室 187.70平方米 |
多目的ホール 95.31平方米 | |
事務室 57.27平方米 | |
2階 映像シアター 138.38平方米 | |
展示室A 134.22平方米 | |
展示室B 213.32平方米 | |
住所 | 〒409-2947 山梨県南巨摩郡身延町上之平1787番地先 電話 0556-36-0015 FAX 0556-36-0003 |
黄金の山波(映像シアター)
黄金にかける人々の夢をテーマとし、湯之奥に眠っていた黄金をめぐる様々な人の夢の広がりと、ここから信玄の時代を経て日本の金山における歴史の広がり、さらに鉄砲などとの交換により黄金が海を渡っていったことをストーリーとした映像(約12分間)が210インチの大型スクリーン上に映し出されます。
(全85席・車椅子専用スペース2席有り)
黄金の郷湯之奥(展示室A)
毛無山中の作業域・住居域などのテラスの模型展示により、鉱石の採取、石臼等での粉砕、汰り分け、灰吹などの過程を経て金塊を精錬するまでを、10分の1の人形模型で表現しています。
ここでは、その作業の過程を映像、音声、照明演出などにより、より理解しやすいように工夫してあります。
湯之奥の黄金とともに(展示室B)
大きく分類して、甦る湯之奥金山、金山での作業、黄金の時代、黄金は永遠に、作業復元模型の各コーナーがあります。
ここでは、湯之奥金山から出土した回転臼、すり臼、碁石、金属製品、銭貨や、門西家所蔵のセリ板等の金山道具や古文書、甲州金等の展示と他の有名な金山の鉱石や石臼等の比較展示などの実物展示、石臼で鉱石を砕くところ、セリ板で砂金を採取しているところ、砂金を熔かし金の塊を作るところが実物大の人形により表現され、また、コンピューターソフトによるQ&Aコーナーなども設け、楽しみながらも往時の栄華や人々を魅了した金について学べます。
一階入り口正面には砂金採り体験施設が設けられ、実際に水槽で砂金採りが体験でき、採取した砂金は持ち帰ることができます。
* 観覧所要時間(観覧のみ)はおよそ30分~1時間を目安にしてください。