印刷砂金甲子園の思い出(第7回大会)
【コラム】 砂金甲子園いまむかし(2010年 第7回大会の頃)
2009年優勝校「駿台甲府」不在でスタートした2010年東西中高交流砂金掘り大会。15年前の砂金甲子園はどんなようすだったのか。今と比較しながら、読み物としてお楽しみください。

午後の「第7回東西中高交流砂金掘り大会」の出場メンバーを確定し本部へ報告しなければなりません。大会は1組16人で行う団体戦と5人1組で行う個人戦の2つで競います。メンバー選考・順番も優勝の行方を大きく左右するので、慎重な話し合いが各学校ごとで行われていました。
メンバーも決定して、いよいよ交流大会の開幕です。自分の学校のプラカードもって選手は入場です。初出場の峡南高校を先頭に、報徳、山梨学院、開成、灘と続きます。
緊張をしている人や待ちに待った砂金掘り大会が始まり、楽しそうな人がいたりとこの大会にかけるみんなの思いはそれぞれ違うようです。
開会式が始まり、館長の挨拶そして、ルール説明が終わるといよいよ競技開始です。
それにしても、この日は暑かった。今年は異常気象ということもあり、この日も温度計は軽く35℃を超えました。しかし、そんな暑さもいまの学生のみんなの大会に懸ける思いのほうがさらに熱いようです。練習してきた成果がいっぱい出せるといいですねぇ~。暑い中大変だけど、優勝目指してみんな頑張って下さい!
開会式が終わり競技開始です。まずは16人1組で行われる団体戦です。この団体戦、昨年までは5人1組のリレー方式で行ってしましたが、出場者数を増やすために今年は16人で行いました。2つフネが用意され、2人ずつ3kgの砂をパンニングしていきます。何粒入っているのかは、競技者も、主催者側も知りません。ただ確かなのは、16人全員がとりこぼし無しで競技を終了すれば、40粒の砂金が集まるということです。
1人だけ良くても駄目。全員が1つとなって戦わないとこの戦いに勝てません。全員の力が表れる団体戦。最後までドキドキハラハラな戦いです。
この団体戦を制したのは、昨年4位で雪辱に燃える灘。灘はなんと40粒中38粒という他を圧倒する成績でした。優勝へ向けて好調なスタートといえるでしょう。3年連続準優勝。初優勝狙う山梨学院が2位につけました。悲願タイトル奪取へ好位置につけました。3位には報徳学園。4位に峡南高校。5位には開成学園となりました。後半の個人戦で、開成には巻き返しを期待したいところです。
3位以下の3チームにもまだまだ後半戦の展開次第では優勝の可能性が残っています。灘がこのまま逃げ切るのか・・・。それとも山梨学院が初優勝を勝ち取るのか。勝負は後半戦の、個人戦へと移ります。
後半の個人戦へ移る前に順位と得点の確認をしておきましょう。
1位 灘 30.5点
2位 山梨学院 20.5点
3位 報徳学園 16.5点
4位 峡南高校 10.0点
5位 開成学園 5.0点
勝負の行方は後半・団体戦に託されます!
後半は各校5人がチームから選抜され砂金掘りの腕を試す個人戦です。先鋒→次鋒→中堅→副将→大将の5回戦で行われます。それぞれの試合で、6kgの砂の中には決められた粒数が入っており、1粒とりこぼすごとに3分のペナルティがつきます。得点は1位から順に、10点、6点、5点、4点、3点となります。パーフェクトで終えた選手にはボーナス点として、1点加点されます。
後半の個人戦と前半の団体戦の合計得点が総合得点となり、得点の多い学校が優勝校となります。※得点配分は参加校の校数によって変動します。
序盤好スタートを切ったのは、団体戦で2位につけている山梨学院。中堅を終えた時点でなんと全員が最速タイム、とりこぼしなしのパーフェクト。優勝に向けて順調な滑り出しです。団体戦で1位の灘も負けていません。ただ、山梨学院の選手が強すぎます。昨年の雪辱を晴らそうと、山梨学院に食らいついています。下位の3チームも3位までが入賞となるので、3位入賞を目指し熱い戦いを繰り広げています。報徳学園は一歩リードしているものの初出場の峡南高校もなかなか健闘しています。開成はなかなか調子が上がらないのか、緊張しているのか。後半の追い上げに期待です。残るは副将、大将戦です!
後半になっても山梨学院の勢いはとまりません。前半戦の勢いそのままに最後まで他を圧倒しました。副将、大将もパーフェクトで終え、大将は惜しくも2位となってしまいましたが、全員がパーフェクト、とりこぼしなしというのは過去には一度もありません。練習の成果が完璧にだせたということでしょう。どのチームも大健闘ですが、山梨学院の素晴らしいテクニックに少しお手上げ状態です。
さぁ山梨学院は灘を捉えたのか・・・。灘が逃げ切ったのか・・・。3位入賞は、報徳学園か?峡南高校か?開成学園か?
午前中の熱戦・一般大会から続く、午後の砂金甲子園大会も非常に盛り上がりました。参加した皆さんにはもちろんですが、この大会の裏方を支える博物館応援団Au会の皆さんにはいつもながらの感謝です。
この年、第10回目となる記念大会であった一般大会。朝はNHKの生中継が入り、大会が盛り上がる一つのきっかけとなりました。
この砂金甲子園、そろそろ20回目をむかえようとしています。こんなに面白い大会なのに、なぜか密着取材とかないんですよね。どこかのテレビ局さん、砂金掘りにかける生徒たちに大会参加まで取材してみてください。絶対おもしろいですから。ということで、この年の大会結果は下表のようになりました。
学校名 | 個人戦 | 団体戦 | ボーナス点 | 総合結果 |
峡南高校 | 24.0点(4位) | 10.0点(4位) | 2点 | 34.0点(4位) |
山梨学院 | 51.0点(1位) | 20.5点(2位) | 5.5点 | 71.5点(優勝) |
報徳学園 | 27.0点(3位) | 16.5点(3位) | 3.5点 | 43.5点(3位) |
灘 | 34.0点(2位) | 30.5点(1位) | 3.5点 | 64.5点(2位) |
開成(東京) | 5.0点(5位) | 16.0点(5位) | 0点 | 21.0点(5位) |
団体戦で2位、個人戦で圧倒的な強さをみせた山梨学院が悲願の初優勝。団体戦では安定した力をみせ、個人戦に関しては全員がパーフェクトとというすばらしい成績を残しました。過去の交流大会をあわせてみても、この年の山梨学院は最強チームといっても過言ではありません。2位には灘。好成績でしたが、惜しくも一歩及ばず。3位に報徳学園。4位には初出場ながら頑張った峡南高校。5位に開成という順位になりました。砂金甲子園初年度から参加している開成の今後の巻き返しに期待!
ということで、あれから10年。砂金甲子園もたくさんの学校が興味を持ってくれ、たくさんの学校が参加してくれています。大会の内容も毎年改善され、その時の”ベスト”を、この大会に関わる人々みんなが尽くそうと努力しています。参加してくれた多くの子どもたちが楽しんでくれるように。それが未来に引き継がれていくように・・・。(2022年6月編集)