田舎で農業がしたかった

田舎で農業がしたかった

得平得さん

自然に囲まれ、ホタルの名所として知られる身延町一色地区。この地区にある築約150年のかぶと造りの古民家を買い上げ、“セカンドハウス”として利用しているのが、東京都狛江市在住の得平得さんです。


移住者の声

「田舎で農業がしたかった」という得平さん。週末に身延にやって来て、自宅に隣接する畑で果樹や野菜作りに励んでいます。

得平さんが農業と出合ったのは50歳の頃。「そろそろ定年退職後の趣味を探そう」と思っていた時、奥様が狛江市の広報誌で「畑の会、会員募集」という記事を見つけ、得平さんに「入会してみたら」と勧めたそうです。「畑の会は、約100坪の畑で15人ほどが共同で農作業するグループで、たまたま欠員が出たとのことでした。それまで土いじりなんて、したことがなかったんですが、やってみたら面白かったんです」と得平さん。その後も市民農園の区画を借りて農業を続けましたが、手狭感は否めず、「やるんだったら、土地の広い地方で農業がしたい」と、3年ほど前から土地付きの民家を探し始めました。「狛江市の最寄りインターチェンジ(IC)は、中央道の調布IC。ここからだと、農業に適した場所は山梨が一番近いので、インターネットのホームページで、山梨の情報を集めたり、山梨県が主催する二居住生活のセミナーなどにも参加しました」(得平さん)。

そんな折、昨年の3月、身延町が主催する「空き家ツアー」が開催され、得平さんも参加。一色地区の古民家を案内されました。「民家の売り主さんが隣接する土地を貸してくれるということだったので、さっそく買いたいと手を挙げたんです」。9月に契約を終え、二居住生活がスタートしました。

得平さんが身延の家を訪れるのは、基本的に週末。土・日曜日に畑作業に励んでいます。畑の面積は約1000坪。「大半が遊休農地だったので、開墾作業や土壌改良から始めました」と得平さん。水はけを良くするため、一部の畑では、排水溝も手作業で造っています。栽培しているのは白菜、ネギ、ニンニクをはじめ、イチゴ、ビワ、ブルーベリーなどと多彩。地主さんが植えていた桃や柿、栗、梅などの木の手入れも進めています。「裏山の竹林の間引きもしています。こうすることで、タケノコが出やすくなりますから。でも今のところ成功していません(笑)」(得平さん)。

畑ばかりでなく、家の中も自信の手でリフォーム。壁の一部を漆喰で塗り直したり、裏山の竹を炭にして使おうと、掘りごたつだった場所に手作りの囲炉裏を備えました。「毎週、あれこれとやることがあって、楽しんでいます」と得平さん。農作業で疲れた体は、近くの温泉に行って癒したり、富士川下りを体験するなど、身延の魅力を徐々に感じている様子でした。「近所の方や地区長さんにも親切にしてもらっています。(取材に訪れた)今日は、地区のお祭りがあるんで、これからお酒を届けに行くんですよ」(得平さん)。

「ここは自由な環境が何より素晴らしいですが、過疎化していくのは残念。この場所を知ってもらい、住んでくれる人が少しでも増えればうれしいです」とも。得平さんは、知人のブルーベリーも育てており、それを“ネタ”に身延に招く計画。こうして身延の魅力を少しでも多くの人に伝えていくことも考えています。

移住者の声
「住んでいる東京とは違い、広々とした土地で農業ができるのが魅力です」と話す得平得さん

移住者の声
畑ではブルーベリーも栽培

移住者の声
「主さんが植えていた桃や柿、栗、梅などの木の手入れも進めています」と話す得平さん

移住者の声
水はけを良くするための水溝作りは手作業

移住者の声
得平さんが購入した約150年のかぶと造りの古民家

移住者の声
家の中も自身の手でリフォーム。壁の一部を漆喰で塗り直した

移住者の声
自宅裏山の竹を炭にして使おうと、掘りごたつだった場所に手作りの囲炉裏も備えた

移住者の声
身延ライフを満喫しようと「富士川くだり」も体験済み